部屋のドアに開いた穴 3/3

 

何時だったかは覚えていない。

 

自分の感覚では2~3時間は

眠っていたような気がする。

 

『パン!パンッ!』

 

まだ眠りが浅かったのか、

 

物音に気付き、

ハッと俺は体を起こした。

 

窓から聞こえる・・・

 

「いるんでしょっ!」

 

彼女だ!

 

俺は体をひねり、

窓の方を振り向いた。

 

そして固まった。

 

そこにいたのは大きく目を見開き、

窓にへばり付いている彼女の姿だった。

 

窓は曇りガラスだったが、

 

あんまりべったりへばり付いているから、

はっきりと表情が分かる。

 

無表情で大きく目を見開き、

あまりにも異常だ。

 

『パン!パン!パンッ!』

 

窓を叩く左手を見ると何かおかしい。

 

・・・血だ。

 

左手から流血しているようだ。

 

『コツン、コツンッ』

 

その音の出所はすぐ分かった。

 

右手に刃物を持っているのだ!

 

「そこにいるんでしょ・・・」

 

俺はゾッとした。

 

数時間前までは彼女を玄関から

迎え入れるつもりだったが、

 

そんな事できるわけがない。

 

「どうして入れてくれないの・・・

わかった・・・」

 

と言うと、

 

彼女は窓から離れて

どこかに消えた。

 

逃げよう。

 

昨日とまた同じ事だが、

美幸の家に逃げ込もう!

 

と直感的に思った。

 

振り返って俺は部屋のドアから

逃げようとした。

 

俺は発狂しそうになった。

 

「うああああああああああ!」

 

あのドアの穴から、

 

流血した青白い左手が

ドアノブを探していた。

 

あの女が窓際から姿を消して

俺がドアに振り返るまで、

 

10秒も時間は経っていないはず・・・。

 

俺の家はそんなに小さくはない。

 

物理的に窓際から玄関を通過して

俺の部屋のドアまで回って来るのには、

 

10秒は絶対に無理だ。

 

俺は心霊的な類の話は

一切信じていない。

 

だけどその時は思ったよ。

 

「幽霊だ!」

 

・・・って。

 

窓から飛び出したのは覚えているが、

後は覚えていない。

 

つくづく情けない話だけども、

気付いたら美幸の家でただ泣いていた。

 

なぜ彼女が俺の所に来たのかは、

全く分からない。

 

彼女が今、

 

生きているのか死んでいるのかも

分からない。

 

その後、

俺は一人じゃ怖く、

 

友達二人を連れて

あの女の部屋に行ったんだ。

 

ちょうど彼女からメールが来なく

なった頃に越していた。

 

あれから俺は未だに何処に居ても、

一人で部屋に居ることが怖いんだ。

 

アイツがまたやって来そうな気がして。

 

ずっと実家暮らしだったが、

 

彼女(美幸)に頼み込んで、

同棲のような生活を今はしている。

 

あの部屋には物を取りに行く

時だけしか戻らない。

 

真っ昼間の時間に母親と一緒に。

 

(本当に情けない・・・)

 

今でも俺の部屋のドアには

穴が開いている。

 

穴はなるべく見ないようにしている。

 

穴の向こうからアイツがあの時の表情で

覗いているような気がするから・・・。

 

シャイニングのジャックニコルソンみたいにね。

 

(終)

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