自動販売機での悪質なイタズラ
それは、
ある夏の暑い夜のことだった。
自動販売機でコーラを買おうとしたのだが、
120円ぴったりの小銭を持っていなかった。
仕方なく100円玉を2枚入れて、
コーラのボタンを押した。
ガコン
取出口からコーラを手に取り、
お釣りのレバーをひねる。
チャリンチャリン
お釣りを取ろうと手を伸ばしたその時・・・
「痛っ!!」
指はすぅーと切れていて、
血が滲んでいる。
「え?なんだ?」
どうして切ってしまったのかと、
つり銭受けを覗いてみると・・・
カミソリの刃が上を向いて光っていた。
「なんなんだよ・・・」
そしてそこには、
小さく折り畳まれた紙も入っていた。
開いて中を見てみると、
こう書かれていた。
『エイズの世界へようこそ』
(終)
解説
仕掛けられていたカミソリには、
HIV感染者の血液か体液が塗られていた。
そして、それを告げるかのように
添えられていた小さな紙。
実際このような事象に遭うと怖いが・・・
ちょっと切った程度の傷口に、
感染者の血液や体液が付着しても
HIVの感染には至らない。
公的なHIV相談室に電話をしても、
あっさりと「大丈夫です」と言われる。
HIVは非常に感染力の弱いウイルスである。
極端な言い方をすると、
パックリと開いて血がボタボタと
垂れているくらいの大きな傷口に、
感染者の血液や体液がドバッと付着する
くらいの事でなければ感染には至らない。