演劇部内で有名だった少女霊の悪戯

ドア

 

これは、俺が高校生の頃の話。

 

俺が通っていた高校には、プロも輩出したことのある、県内では有名な演劇部があった。

 

俺は演劇部員ではなかったが、友人が演劇部員で時々裏方の手伝いをしていた。

 

私立だったこともあり、音響や照明もしっかりした設備が揃った、ちゃんとした舞台があった。

 

その舞台に『幽霊が出る』という噂話は、学校の七不思議として有名だった。

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部員たちを困らせる少女の霊

一昔前の、今の制服に変わる前の古い制服を着た少女の霊が出るという。

 

“出る”というだけならどこの学校にも一つや二つはあるだろうし、特に気にかけるようなものではない。

 

きっと知らないまま卒業する人もいるだろう。

 

だが、演劇部内では彼女の話は有名だった。

 

なにせ実害があったからだ。

 

ただ、害と言っても些細なものだが。

 

むしろ『悪戯』とでも呼ぶべきか。

 

なんでも、この演劇部には一つ決まりがあるという。

 

それは、音響や照明の為の部屋に行く時は必ず二人で、しかも一人は中に入らず外で待たなければならない。

 

変な決まりだ。

 

二人で行くのに、一人は何もすることなくただ扉の前で待っているのだという。

 

これは、彼女の悪戯が故に生まれた決まりだった。

 

なぜなら、一人でその部屋に行くと、ほぼ必ずと言っていいほど鍵をかけられるからだ。

 

その部屋は外からしか鍵がかけられないようになっていて、その部屋に来るのは部員以外ほとんど有り得ないというのに、部員が閉じ込められるということが多発したのだという。

 

俺が在学中にも何度かそういうことがあった。

 

たまたま一緒に行く人がいなかったり、短い時間だから大丈夫だと思って油断していたり、まだ決まりを知らない新入生が被害者だったりした。

 

こういう話を聞くと、大抵「悪戯で誰かが鍵を閉めたんだろう」という者が出てくるが、その部屋に行く道は一つだけで、そこを誰かが通れば他の部員は必ず気付くはずなのだ。

 

だが、部員が途中でその部屋に向かったことも、他の生徒がそこへ行ったこともなかった。

 

鍵をかけられるだけ。

 

但し、人が全く傍にいない、つまり完全に閉じ込められてしまう可能性のある時は何も起こらない。

 

そういう意味では本当に些細な悪戯だと言えた。

 

ただ、この部屋には空調がない為、夏場は信じられないくらい暑くなるし、冬場はとてつもなく寒くなる。

 

長時間に渡って閉じ込められれば危険なこともあるし、何より生理的な問題がある。

 

今までのところ大きな被害が出たことはないらしいが。

 

しかし今年のような猛暑になると、さすがに心配にもなる。

 

俺は部のOBではないので、卒業後のことは詳しくは知らない。

 

だが、元部員の友人によれば、彼女は今も些細な悪戯で部員たちを困らせているとのことだった。

 

(終)

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