幽霊が出ると噂があった公園にて
これは、私が小学1年生の頃の話です。
当時、仲の良かった3人の友達がいました。
私を含めたその4人がその時に夢中になっていたのは、砂場で山を作って水路を作り、頂上から水を流すという遊びでした。
しかし、その日はいつも遊んでいた公園を上級生に占領されてしまい、挙句に自転車で追い回されて砂場から出されてしまいました。
水汲み用のバケツを持参していた私たち4人はそのまま家に帰る気にもなれず、「他の公園に行こうよ」となり、その公園から少し先にある小さな公園に向かいました。
しかし、その公園の砂場はすでに先客がおり、なにより水道の蛇口と砂場の距離が離れていたので、私たちのやろうとしている遊びには適していませんでした。
「しょうがない、今日は帰ろっか」
そんな感じになり始めた時、誰かが「ジャンプ公園に行こうよ」と言い出しました。
そのジャンプ公園というのは通称で、正式な名称は知りません。
そのジャンプ公園はすぐ隣が雑木林だったせいか、なんとも不気味な公園で、学校では『幽霊が出る』と噂されていました。
ジャンプ公園のその噂は子供の間ではかなり有名なもので、遊具も多くて比較的広い公園なのに、昼間でも誰もいないような怪しい雰囲気の公園でした。
しかし、遊びたい一心の私たちチビッコ小学生4人組の前では、そんな噂は何の歯止めにもなりませんでした。
みんなでジャンプ公園に急いで向かいました。
それだけ砂場での水遊びがしたかったのです。
予想通り、公園に誰もいません。
初めのうちは公園の不気味さを感じながら恐る恐る遊んでいた私たちでしたが、熱中し始めてしまえば、そんな不気味さなど全く気にならなくなっていました。
ひとしきり砂場で山を作って水を流したり、ダムを作って水を溜めたりして砂場での水遊びを楽しむと、ちょうど日が暮れてきてパンザマスト(夕焼け小焼けのチャイム)が鳴り始めたので、私たちは帰ることにしました。
日が落ちてくると、ジャンプ公園は一層不気味さを増していました。
こんな不気味なところでよく遊んでたなと、その時に思ったのを覚えています。
結局、ジャンプ公園には私たち以外は誰も来ませんでした。
4人で家に帰る道すがら話していると、友達の1人が妙なことを言い出しました。
「ジャンプ公園って幽霊のせいで誰も遊んでないと思ってたけど、私たちの他にも遊んでた人いたね」
すると、別の友達が「どこで遊んでたの?誰もいなかったよ?」と聞き返すと、「ブランコで女の子が1人で遊んでたじゃない」と答えるのです。
水道はブランコの近くにあったので、水汲み係だった私は、もし誰かが遊んでいたら気がつくはずなのです。
しかし、確かにブランコには誰もいませんでした。
結局、不安で怖い気持ちを抱えながら、それぞれの家に帰りました。
そして家に着いて気がついたのですが、水汲み用のバケツは私の物で、それをジャンプ公園に忘れてきてしまったのです。
母に事情を話すと、「今日はもう暗くなっちゃったから明日にでも取りに行きなさい」と言われました。
正直、今から取りに行けと言われなかったことでほっとしたと思います。
しかし、その日の夜9時頃に帰宅した父が、私が公園に忘れてきたはずのバケツを持っていました。
父は少し不機嫌そうに、「おい、バケツで遊んだんなら玄関の前に置いておかないできちんと片付けろよ」と言いました。
ちなみに、そのバケツは何処にでもあるような普通のバケツで、名前も住所も書いていません。
ただ、そのバケツには泥や砂が付いていて、間違いなく私の持って行ったバケツでした。
子供心に、とても怖かった思い出です。
(終)