帰宅中に聞こえたノイズの正体
肌を刺すような寒さの中、
予備校の講義で夜遅くなったので、
家まで近道の農道を、
自転車で走ってた。
音楽を大音量で聴いていたから、
最初は異変に気づかなかった。
たまに聞こえるノイズ。
音割れしてるのかと思って、
音量を下げても聞こえてきた。
ノイズの頻度も増してきて、
ちょっと怖くなってきたから電源を切って、
全速力で自転車を漕いだ。
少し経った後、
ヘッドホンもしてないのに、
ノイズが聞こえてきた。
音楽が流れてない分、
ハッキリと聞こえた。
子供の笑い声だった。
(それも複数)
午前0時過ぎ、
あたりは田んぼと森。
子供がいることは、
まずありえない状況。
パニックになった俺は、
ひたすら自転車を漕いだ。
普段なら怖いから絶対通らない
森の中を突っ切る道を、
気がついたら走ってた。
だんだん大きくなっていく笑い声。
泣きそうになりながら走っていると、
少し拓けたところに民家の明かりが見えた。
緊張の糸が切れて、
ボロボロ泣きながら明かりのついてる
民家まで行くと、
その向かいの家が、
崩れてるのが見えた。
火事だったのか、
何本か残っていた柱は煤け、
真っ黒な瓦礫の山だけがあった。
気がつくと、
笑い声は聞こえなくなっていた。
母に聞いた話だと、
その家は二日前に火事に遭っていて、
その家の奥さんと子供二人が
亡くなっていたそうです。
(終)