自転車のカゴに乗っていた恐ろしいもの
昔から霊感の強かった叔母は、その日もイヤなものに出会ったという。
前方から、自転車を一生懸命に漕いでいるおばちゃんが目に入った。
坂道でもない平坦な道なのに、そのおばちゃんは汗をかきながら苦しそうに自転車を漕いでいる。
「はて?」
そう思った叔母が遠目ながらその自転車のカゴを見ると、なんと『生首』が乗っかっているではないか。
眼球が無くぽっかり空いた空洞が、そのおばちゃんを睨んでいた。
「あれはとんでもなく悪い霊だ。あの人に教えてあげなきゃ。でも、まともに相手してくれないだろうけど・・・」
叔母はそのおばちゃんに話しかけようか迷っていたが、やはりこのままでは良くないと思い、伝える決意をした。
そして、いよいよそのおばちゃんとすれ違う時、「あの・・・」と言いかけたその瞬間、おばちゃんがポツリと言った。
「知ってます」
(終)
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