忘れ物を取りに廃墟ホテルへ

「ナツ!私と一緒に

○○ホテル行くで!」

 

「はぁ!?」

 

弟の俺とホテルって、

アンタ何考えてるんだ・・・。

 

「何、勘違いしてん!

 

廃墟なん!そのホテル。

知らんの?」

 

「なんで廃墟のホテルに

行かんとあかんねん。

 

俺は今、忙しいねん」

 

話を聞くと、

 

姉貴は彼氏とその他グループと

肝試しに行ったらしいんだが、

 

携帯をホテルに

忘れたらしかった。

 

彼氏に車で

家まで送ってもらい、

 

部屋で彼氏に

メールしようとした時に、

 

気付いたらしい。

 

「ケンちゃん(姉の彼氏)と、

いきゃーえーやん」

 

「番号覚えてへんもん・・・。

 

しかもケンちゃん、

7時からバイトやもん」

 

「明日、いきゃーええがな!

怖いやろ!」

 

「いやや!明日、学校終わるまで

携帯ナシなんか耐えれんもん!」

 

ちょっと半泣きなので

仕方なく、

 

メチャクチャ文句を言いながら、

俺は着替えた。

 

時計を見ると六時。

 

まだ明るいけど

ライトをバックに入れて、

 

俺のバイクでその廃墟ホテルへ

2ケツして向かった。

 

かなりの農道を走ったと思う。

 

ぶっちゃけ、

本当に姉貴は天然だ。

 

大学へ行ってるが、

 

ドジ過ぎて親が心配して

一人暮らしさせないのもそこにある。

 

「ここが廃墟ホテル?

こんなとこあったんやな」

 

「アホやなぁ。

 

あんたも地元の人間なら

知っときぃ。

 

有名やで?

幽霊でるって」

 

そげな場所に、

携帯忘れてくんなと言いたい。

 

とりあえず玄関の入り口は

門が閉まって入れないらしいので、

 

裏の厨房の勝手口から入った。

 

厨房くっせー!

なんやら腐った臭いがする・・・。

 

酒の空き瓶とか

コンビニ弁当が散らばって、

 

浮浪者が宴会でもした

後のような感じだ。

 

厨房を抜けると

T字の廊下があり、

 

真っ直ぐ行くとフロント。

 

左は従業員用の部屋、

右は階段だ。

 

「何処に携帯置き忘れたん?

 

ぶっちゃけ俺めっさ怖いねんやー。

はよ携帯捕獲して帰ろうで」

 

「三階の広いベランダで

皆で話してた時に、

 

イスの上に置いたん覚えてるから、

たぶんそこやと思う」

 

俺と姉貴は

サッサと階段を上った。

 

階段の壁に飾られている

モナリザの絵がかなり怖かった。

 

鳥の羽やら猫の毛らしきものが

いっぱい落ちてたし、

 

壁に、「後ろを見ろ」

とか書いていて、

 

恐怖倍増。

 

ホテル内は予想より夕日が入り、

明るい感じだった。

 

カラスがギャーギャーうるさい。

 

いろんな事を考えてるうちに、

三階へ着いた。

 

三階に着くと、

目の前に大きなベランダがあり、

 

机やらイスやら壊れたテレビやらが

置かれていた。

 

「あれ?ない!

うちの携帯ない!」

 

「はぁ?

 

もしかして、ケンちゃんの車に

忘れたってオチちゃうやろなぁ」

 

「あ、それかもしれへん」

 

「ブッコロスよ?」

 

口論していたが、

 

俺が姉貴の携帯へ電話すれば

早かったと気付き、

 

俺は電話したんだ。

 

「チャーララ~♪」

 

向こうから鳴っていた。

 

とりあえず携帯はホテル内の

三階にある事は確信した。

 

音の鳴る方へ近付く。

 

どうやら309号室。

この部屋にあるみたいだ。

 

「あれ?

 

うちらこの部屋なんか

入ってないのに・・・」

 

「その言葉、信用出来んわ。

天然やからな」

 

その瞬間、

 

姉貴の携帯の着メロが

止まった。

 

あれ?留守電なったかなと思って

自分の携帯を見ると、

 

『通話中』

 

と表示されていた。

 

俺はパニくったが、

とりあえず喋ってみた。

 

「あ、あの!もしもし!?」

 

『・・・ザァー・・グ・・ウィ・・バ』

 

ワケの分からん雑音しか

聞こえない。

 

俺の直感で、

これはヤバイと思った。

 

部屋のドアを開けようとする

姉貴を止めた。

 

「ちょいまって!

通話中になってるん!

 

この部屋、誰かおるぞ?

ヤバイって」

 

「え!?

浮浪者なんかなぁ?

 

ナツ、携帯取って来て?

姉ちゃん怖いわ」

 

俺だって怖い。

 

それに浮浪者なんかじゃない。

そんな気がした。

 

俺はヤケクソで部屋を開けた!

 

え?・・・誰も・・いない。

 

そして、ニッコリ微笑した

ピエロのお面の横に、

 

携帯があった。

 

姉貴の携帯には、

油がベットリ付いていた。

 

ストラップも毟り取られているようだ。

 

俺が混乱していると、

 

部屋の外で待ってる姉貴が

悲鳴をあげた。

 

「ど、ど、どしたん!?」

 

姉貴はうずくまって震えて、

何も答えない。

 

「どしたんやて!?

 

携帯あったで!?

何があったん?」

 

「あのあの、あのな、

 

白髪のおじいさんが耳塞いで

こっち走って来たん!

 

ホンマやで!?

うち見たもん!

 

叫びながらこっち

走ってきたもん!」

 

「お、お、落ち落ち着き!

そんな悲鳴聞こえんかった!

 

とりあえず携帯はあったんや!

はよ帰るで!」

 

ガチガチ歯を鳴らす姉貴を連れて、

俺は階段を降りた。

 

正直、俺も足はガクガクだ。

 

なかなか足が言うことを

聞いてくれない。

 

一階まで降り、

厨房のドアを開けようとした時、

 

なぜかフロントを見てしまった。

 

見なきゃよかった。

 

髪の毛が真っ白なおじいさんが、

首を左右へ曲げながらこっち見てる・・・。

 

もう、スローモーションになってた。

 

自分の行動、

姉貴の泣きそうな顔。

 

アイツは何か言ってたんだ。

 

「あ゛ぁぁああ!!!」

 

俺と姉貴は絶叫し、

一目散に帰宅した。

 

それ以降、

 

姉貴の携帯には非通知で

無言電話が週一日くらいで掛かる。

 

そのホテルはまだあります。

 

本当に地元じゃ有名な、

霊のホテルと言われています。

 

横にトンネルがあるので、

知っている人もいるかも。

 

霊感があり、

怖いもの知らずな先輩も、

 

「あそこだけは、よう行かん」

 

と言うくらいでした。

 

(終)

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2 Responses to “忘れ物を取りに廃墟ホテルへ”

  1. さっちん より:

    岡山?

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