真冬に一人こたつで寝ていると
私が高校生の時の話です。
当時、私は8階建ての
マンションの角部屋で、
姉と母と三人で
暮らしてたんです。
2LDKの間取りで、
姉は隣の部屋、
母と私は一緒の部屋。
母は夜の仕事もしてたので、
夜のうちに帰ってくる事は
結構稀だったんです。
寝る以外は私の一人部屋
みたいな感じでした。
それで、私は結構どこでも
寝てしまう体質なので、
当時真冬だった事もあり、
こたつで寝てしまうなんて
しょっちゅうでした。
その日も漫画を
読み終わった後、
こたつで寝てしまったんです。
電気も点けっぱなしで。
しばらくすると、
ふと目を覚ましたんです。
「あ、電気消そう・・・」
と目を開けた瞬間、
私は凍りつきました。
私が寝ているすぐ側で、
緑色のワンピースを着た
髪の長い女の人が、
私を見下ろしてました。
電気も点いてるし
明るいはずなのに
顔だけが暗くて・・・。
肌の白さや
緑色のワンピースは
電気の光を反射するくらいに
はっきり見える。
なのに、
顔だけが見えません。
(なんでこんな所に
知らん人いるんや!)
当時、霊とか全く
信じてなかった私は、
「誰やねん!」
と言おうと思って、
起き上がろうとしました。
そしたら、
体が動きません。
言葉も「カッ・・・」
って言う感じで、
喉から空気が出ていくだけみたいな
音しか出ませんでした。
多分、あれが俗に言う、
金縛りというものなんでしょうね。
私はその時に初めて、
自分が霊体験をしている
事を自覚して、
もう恐ろしくて恐ろしくて、
たまらなくなりました。
相変わらずその女の人は
側にいるし、
しかも私は動く事が
出来ないから、
その人から目を離す事も
出来ない。
そしたらその女の人は
ゆっくり動き出して、
手を伸ばしてきたんです。
私の顔に向かって・・・。
私はもう本能的に、
「あ、これはもう
触られたら終わりや」
と思って、
必死に動こうとしたんですが、
当然動きません。
そんな事をしてる間にも、
女は手を近づけてきます。
半泣きになって
「助けて助けて助けてー!」
と思ってたら、
後ろで私を誰かが
引っ張ったんです。
その女から遠ざけるように。
引っ張ってくれた人物を、
私は「お母さん?」と
思ったんですが、
その瞬間に夢から覚めたように
体が動きました。
母はまだ帰っていなかったし、
その女も消えていました。
電気は相変わらず
点けっぱなしやったし、
鮮明過ぎるくらいに
緑色のワンピースが、
脳裏に焼き付いていました。
それ以降、
ちょっとだけ霊に敏感になった
ような自分がいます。
あそこまではっきりと
見えたりはしてないんですが・・・。
あの女の人は何だったのか、
引っ張ってくれた人は誰なのか。
今でも思い出すと、怖いよりも
少し不思議な気分になります。
(終)