終わりのない鬼ごっこ 2/2

そして俺は、

ある事を思いついた。

 

終業式の日に

俺がタッチして逃げれば、

 

学校が始まるまで

あいつはずっと鬼になるのだから

 

物凄く悔しがるに違いない、

と思ったのだ。

 

もちろん、

 

Sは俺の住んでいる所を

知らない。

 

教えてくれる友達もいない。

 

相変わらず、

Sは俺から逃げ回っていたが、

 

タッチされた時の

悔しがる様が想像出来て、

 

逆に笑えるように

なってきた。

 

そして、

 

とうとう終業式の日が

やって来た。

 

俺は、

 

Sが運動靴に履き替える為に

上履きを脱いだ時に、

 

タッチして逃げるという

作戦を立てていた。

 

終業式が終わり、

帰りの会も終わった。

 

俺はSを相手にしていない

フリをして、

 

そそくさと教室を出た。

 

Sは馬鹿なので、

学校で使う道具を

 

小まめに持って帰って

いなかったので、

 

Sの机だけ荷物が凄いことに

なっていた。

 

俺は逃げやすいよう、

手ぶらで済むようにしていた。

 

俺は運動靴を履いて、

 

隠れてSが来るのを

ワクワクしながら待った。

 

30分くらいして、

 

パンパンのランドセルを

背負ったSが、

 

荷物をひきずりながら

歩いて来た。

 

Sが上履きを脱いだ。

 

俺はその瞬間、

 

うしろからSの頭を

思いっきり叩いて、

 

「タッチー(笑)

 

と憎々しい声で言って、

その場から全速力で逃げた。

 

Sは想像以上の

物凄い反応をした。

 

「おおおぉーおおー」

 

と物凄い大声で

叫んだのだ。

 

俺は笑いながら走った。

 

必死で悔しがりながら

走って来るSを見てやろうと、

 

振り返った。

 

この時は、

あの大荷物じゃ

 

走って追い掛けて来て

ないのかも知れないな、

 

つまんねぇなぁ、

と思っていた。

 

しかし、

Sは靴下のまま、

 

荷物もほっぽり出して

俺を追い掛けて来ていた。

 

Sの必死さに、

 

俺は大笑いしながら

走った。

 

Sは、

 

「殺す」

「呪う」

「待て」

 

と物凄い声で

叫んでいた。

 

最後の方は喉が

変になっているのに、

 

無理やり出している

ような声だった。

 

俺は家に帰ってからも、

笑いが止まらなかった。

 

あぁ、清々したと、

心から思った。

 

夕方頃、

家でテレビを見ていると、

 

人間とは思えないような

声が聞こえた。

 

Sが殺すと言っている声だと

直感的に感じ、

 

冷や汗が出てきた。

 

あいつ、

まだ探してるのかよ・・・。

 

俺、見つかったら

どうなるんだよ・・・。

 

と、その日の夜、

 

家に緊急連絡網の

電話が回って来た。

 

Sが死んだからだ。

 

トラックに跳ねられたらしい。

 

後で知った事だが、

 

信号を無視して道路に

飛び出してきたらしい。

 

そして、

靴を履いておらず、

 

足の裏と喉が

ズタズタだったそうだ。

 

Sが事故に遭った時間は、

 

ちょうど俺があの声を

聞いた時間だった。

 

Sが大荷物で教室から

出て来るのが遅いせいか、

 

俺が関っている事は

誰にもバレなかった。

 

もしかしたら

死ぬ直前まで、

 

Sは叫びながら走り続けて

いたのかも知れない・・・。

 

あの不気味な声だけで終われば、

どんなに幸せだった事か・・・。

 

その夜、

 

Sが死んだ日に聞いた

あの声が聞こえてきた。

 

今度は追い掛けられる番

なのかも知れないと思った。

 

それからというもの、

 

俺は毎日イスに座って

過ごしている。

 

イスに座っていれば

安全かも知れない・・・

 

と思っているからだ。

 

今はまるで、

 

あの時のSの真似をしている

ような生活をしている。

 

イスに座って

寝ている様など、

 

授業中に寝ていた

Sそのものだ。

 

今ではSのように、

 

他人が突然追い掛けて

来るように思えて、

 

近づくことが出来ない。

 

またあの近づかないゲームを

やることになるとは、

 

何という皮肉だろう。

 

(終)

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