一人暮らしを始めた部屋に 1/2

ノート

 

これは、

2年くらい前の話なんだが、

 

当時、何かと親と揉めていて

一人暮らしをすることになった。

 

とにかく金がないので、

 

家賃が月2万3千で

1DKのトイレ風呂付き、

 

ってところを見つけたので、

 

そこに潜り込むように

生活を始めた。

 

自分にはIとKという友人がいて、

よく3人で遊んでた。

 

引越しの時もその2人に

付き合ってもらったんだけど、

 

Iの方がなんか

気乗りしないというか、

 

妙にピリピリしてる。

 

「手伝ってもらって

マジで悪い。

 

後でなんか奢るからさ」

 

と言うと、

 

I「いや、

そういうことじゃないんだ。

 

気にしないでよ」

 

と返すばかり。

 

部屋の掃除とかをいつも

やってくれるIは、

 

こういうことで怒るような性格

ではないと分かっていたので、

 

最初は何か向こうの方で

トラブルでもあったのかな?

 

程度にしか考えてなかった。

 

引越し作業も終わって、

 

深夜料金を覚悟で、

3人でファミレスに行った時、

 

I「本当はこういうこと

言いたくないんだけどな・・・」

 

って、突然Iが語り始めた。

 

I「お前らさ・・・

 

あの部屋で何か感じたりとか

何か見たりしなかった?

 

「は?」

K「いや、別に?」

 

もう寝耳に水というか、

最初は悪い冗談かと思った。

 

その時の自分は、

幽霊否定派だったし。

 

I「あそこでさ・・・

見たんだよ・・・。

 

人の手。

 

風呂のところから

伸びてる手」

 

「おいおい!

 

マジそういう冗談、

笑えないって!」

 

ぶっちゃけ半ば切れて、

怒り半分でそう言うと、

 

I「いや、ごめん。

 

そういう意味じゃないんだ。

 

D(俺)には悪いと

思うけどさ、

 

後で何かあった時に

後悔したくないから、

 

一応注意ってことで。

 

何もないなら別に

それでいいんだ」

 

俺としても気味は悪いが、

 

これ以上話して空気が

悪くなるのは嫌だったし、

 

そこで打ち切って

さっさと忘れようと努めた。

 

ファミレスで解散して

戻ったのはいいんだけど、

 

どうにもさっきのIの言葉が

頭から離れなくて困る。

 

仕方がないので、

 

PCの電源を入れて

メッセを始めたんだけど、

 

そこからだった。

 

どういうわけか、

漢字に変換出来なくなる。

 

IMEの故障かと

弄ってみたけど、

 

変化なし。

 

引越しの作業で、どこか

悪くなったのかと思い、

 

Iに学校が終わったら

PCを見てくれとメールして、

 

その日は寝ることにした。

 

(IはPCが得意で、

 

俺のPCのメンテとかも

勝手にやってくれる)

 

その日の夜はそれで

問題なく終わった。

 

翌日、Iがやって来て

PCをつけてみると、

 

何の問題もなく変換出来る。

 

I「別に問題なさそうだけど?」

 

「えぇー?!

 

いや、昨日はマジで

おかしかったんだけど」

 

I「まぁ、治ったから

別にいいじゃん」

 

その後は適当に

ゲームの話をして、

 

Iは帰っていった。

 

途中まで見送りに行って、

 

家に帰ると不思議な

光景が待っていた。

 

何故かテーブルの上に、

 

ノートサイズの真っ白い紙と

一本のボールペンが、

 

ちょこんと置いてある。

 

確かにボールペンは

自分のものだけど、

 

紙に関しては記憶にないし、

 

そもそもこの家に来てから

ペンを握った試しがない。

 

IはずっとPCの前にいたので

こんなことするはずないし・・・

 

と思うと、

なんだか背筋が寒くなってきた。

 

気味が悪かったので

紙をゴミ箱に入れて、

 

ボールペンも机の引き出しに入れ、

布団を頭から被るようにして寝た。

 

それからなんだけど、

 

毎日のようにバイト先から

帰って来ると、

 

机の上に紙とボールペンが

置いてある。

 

本当に、ただただ

それだけなんだけど、

 

日に日にストレスが溜まって

しょうがなかったので、

 

休日に折を見て、

KとIに相談した。

 

Kはただのビビリなので、

ただ驚くだけだったんだけど、

 

Iの方は話し終わるとすぐに、

 

I「分かった。

 

明日休みだから、

 

お前の部屋をウェブカメラで

監視してやるよ。

 

もしストーカーとか

泥棒の類だったら、

 

すぐにお前に電話するから」

 

なんでも、

 

ネット経由でテレビ電話のように

監視が出来るらしく、

 

3千円もあれば十分だというので、

そのまま家電屋に直行。

 

その日、

IとKはうちに泊まった。

 

(続く)一人暮らしを始めた部屋に 2/2へ

スポンサーリンク

あなたにオススメの記事


コメントを残す

CAPTCHA


スポンサーリンク
サブコンテンツ

月別の投稿表示

カレンダー

2024年3月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

【特集】過去の年間ランキング

(2022年1月~12月)に投稿した話の中で、閲覧数の多かったものを厳選して『20話』ピックアップ!
【特集】2022年・怖い話ランキング20
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
アクセスランキング

このページの先頭へ