あの恐怖の始まりはネットゲームから 1/2
1年前の話。
友人に誘われて、
某MMO(ネットゲーム)を始めた。
それまでネトゲはおろか、
チャットも未経験だった私は、
たまたま大規模ギルドに
拾ってもらい、
そこの古参プレイヤー数人に、
プレイやチャットの手解きを受けた。
私のキャラは皆の協力により
順調に成長し、
いつも楽しくプレイ
することが出来た。
皆いい人で、
初心者だったというのもあってか、
私はギルド内で、かなり
可愛いがられていたと思う。
その古参の中にAがいた。
Aはプレイ歴が長く、
レベルもギルド内で最高クラス。
普通じゃお目にかかれない
レア装備をいくつも所持しており、
皆から一目置かれる
存在だった。
Aは私のことをひときわ
気にかけていてくれたようで、
しょっちゅうレベル上げを
手伝ってくれたり、
もう使わなくなった装備を
気前良くくれたりした。
所属していたギルドは
皆の仲が良く、
リアルで知り合い同士
という人も沢山いて、
ゲームをしながら
スカイプを繋いで会話したり、
メールアドレスの交換も
頻繁に行われていた。
メンバーのほとんどが
関東か関西圏に集中しており、
北海道にいる私は一度も
参加したことがなかったが、
オフ会なんかもちょくちょく
開催されていた。
ネット内のコミュニケーションに
免疫が全くなかった私は、
Aを含む仲の良いメンバー数人と、
リアルの素性(性別、仕事等)や
メールアドレスを教え合っていたが、
今にして思えば、
携帯番号や詳しい住所まで教えなくて
本当によかったと思う。
Aは、関西に住む
大学生だった。
その頃になると、
ゲームにログインしている間中、
常にAが絡むようになってきた。
ギルドハントといって、
ギルドの仲間数人で
狩りをする時はもちろん、
たまにソロで遊んでいる時も、
Aから頻繁に耳打ち(一対一のチャット)
が来るようになった。
A「○○(私)ハケーン (´・ω・`)」
A「今何してるの?
一人なら行ってもいい?(´・ω・`)」
A「もしかして誰かと一緒?(´・ω・`)」
Aからの耳打ちには常に、
(´・ω・`)の顔文字が付いていた。
最初の方こそ
律儀に返していたが、
ある時、別の友達と、
かなり忙しい狩場に来ていて、
耳打ちに返信する暇がなく、
悪いけど後で返そうと思い、
返信しなかった。
すると、1分もしない間に、
耳打ちではなく普通チャットで、
(その画面内にいる誰もが
見えるチャットのこと)
A「(´・ω・`)」
かなり遠くの狩場にいたはずのAが、
すぐ傍に来ていた。
仕方なく狩りを中断して、
耳打ちを返せなかったことを謝ると、
A「いいよ。
○○は僕といるよりも、
他の人といる方が
楽しいんだよね (´・ω・`)」
と言い、ログアウト。
私は唖然・・・。
一緒にいた友達はドン引き・・・。
この時から、
私に対するAの普通じゃない
執着を感じるようになった。
それからというもの、
ログインする度、
すぐにAからの耳打ちが来た。
A「(´・ω・`)」
ゲームには友達登録という
機能があり、
友達リストに登録している人が
ログインするとリストの名前が光り、
検索をかければどのマップにいるかが、
すぐ分かるようになっている。
Aはこの機能を使って、
私のログイン状況と、
どこにいるかを常に
監視するようになった。
私はAの行動が怖くなり、
しばらくゲームにログインすることを
控えるようになった。
すると、
今度は毎日のように
携帯にメールが来た。