臓器提供者を待つしかない俺に
俺は重い病にかかっていた。
発作がひどい時は、
動くどころか、
呼吸すら自力で出来ないほど、
重い病気だ。
俺の助かる方法は、
臓器提供者を待つだけ。
それまで、じっと痛みに
耐えるだけ。
当時、俺には最愛の
彼女がいた。
俺がわりと体調の良い時は、
俺「お前の臓器くれよ~」
女「血液型が違うから無理だよ」
俺「俺のために死んでくれ~」
女「やだ(笑)」
と冗談を言い合って
笑っていたし、
俺が発作を起こした時は、
女「そのくらい耐えなさいよ、
男でしょ!」
と言いながらも、
手を強く握って
祈ってくれた。
でも、看護婦さんによく
追い出されていた。(笑)
ある日のこと、
例外もなく俺は、
発作を起こした。
俺は痛みに耐え切れずに、
力を振り絞り・・・
俺「もう死にたい」
と呟いた。
声にもならない音
だったと思うけど、
彼女には聞こえたようで、
顔を歪めてわんわん
泣いていた。
俺は、苦しいのと、
いつも強気な彼女を
泣かせてしまった悔しさで、
さらに気分が悪くなった。
しばらくして、
女「ちょっと用事で急ぐから・・・」
そう言って、
彼女は病室から出ていった。
出ていく時、
彼女の手が俺の手から
するりと抜ける瞬間、
ゆっくりと意識が薄れていった。
入れ替わりで、
看護婦さんがバタバタと
入ってきたところで、
俺の意識は飛んだ。
次の日の早朝、
臓器提供者が見つかり、
俺は助かった。
しかし、
それから一ヶ月経っても
彼女とは連絡が取れていない。
人づてに、俺が助かったのは
届いたらしいのだが・・・。
それにしても暇だ。
退院したら真っ先に
彼女に会いに行こう。
さすがにまだ、
殺されていないと思うけど・・・。
元気でやってるだろうか。
(終)