恋人からの贈り物は気をつけろ 3/4

 

開口一番、Sさんに、

 

「Y町の△って部落に住んでる方、

ご存知ないですか?」

 

と言われた。

 

確か、二年くらい前に

付き合っていた彼女が、

 

そこの出身の子だった。

 

可愛いけど、

嫉妬や束縛が強くて、

 

3ヶ月付き合ったら嫌になってしまい

別れたのだが、

 

それからも何回も

電話が来たりした。

 

最近は来なくなっていたのだが、

そのことを言うと、

 

この人形を送ったのは

おそらくその子だろう、

 

と言われた。

 

俺は腹が立って、

 

すぐにそいつを

呼び出そうかと思った。

 

が、Sさんは言葉を強くして、

 

「今後一切、その彼女さんに

干渉しないでください。

 

町で会っても電話が来ても、

 

絶対に声をかけたり、

睨んだり意識したりしないで、

 

とにかく無視してください。

 

今後、似たようなものが

 

また送られてくる可能性は

十分あります。

 

彼女がこのおまじないに対する

知識を増やせば増やすほど、

 

影響も強くなると思うのです。

 

もし送られてきたら

意識を逸らして、

 

出来るだけ彼女のことを

考えないようにしてください。

 

そうしないと、

 

私なんかじゃ対処出来ない

状態になります」

 

以下は、Sさんが分かりやすく

説明してくれた事。

 

送られてきたものの、

 

藁人形部分はほとんど

カムフラージュというか、

 

送った本人が見た目の迫力を

出すためにやった事だろう。

 

問題は腹に入っていた箱で、

 

Y町の付近には『ハコマワシ』という、

独特の豊作を願うおまじないがある。

 

小さい箱の中に、

豊作を願うお供物を入れて、

 

畑や田んぼに埋める

おまじない。

 

簡単に言うと、

 

願い事を象徴するもの

 

(家を丈夫にしたいなら、

丈夫な木の枝、

 

田んぼの豊作ならお米、

 

畑の豊作なら、

育てる農作物とか)

 

を箱に入れて、

 

影響を及ぼしたいもの

(畑や田んぼ、家の土台など)

に埋める民間のおまじないらしい。

 

今でもやっている家が多いのが、

△という部落。

 

経血や髪やお洒落した爪は、

性や嫉妬の象徴で、

 

それらを影響の及ぼしたいもの、

つまり俺に送ったらしい。

 

本当なら凄く怖いおまじない

というか呪いなのだが、

 

見聞きした形だけを

真似したものらしく、

 

おまじないの作法も道具も

めちゃくちゃなものだったらしいから、

 

あの時は「平気平気」だった。

 

が、送った彼女が、

 

作法や道具などの知識をもって

改めてこれを送ったら、

 

よくないことが起こる。

 

が、元々は家主と家、

 

地主と畑などの関係があるから

成立するおまじないで、

 

関係のない人が関係のない

土地に埋めても効果がないので、

 

彼女のことを出来るだけ

考えないようにして、

 

忘れてしまえばいい。

 

大まかにいうと、

こういう事らしい。

 

元々、

俺の住んでいる地域は、

 

Y町を含めて変な行事や

祭りが多い場所で、

 

Sさんいわく、

この他にも今回みたいに、

 

呪いに転用出来そうなおまじないは、

沢山あるのだそうだ。

 

一通り説明した後、

Sさんは俺に、

 

紙に包んだ塩をくれた。

 

夜になったら

部屋に撒くように言って、

 

そのまま原付に乗って

帰っていった。

 

後でSさんから聞いたのだが、

 

あの藁人形や箱とその中身は、

 

Y町の△部落の河原に埋めて

返して来たそうだ。

 

夜になって塩を撒いたのだが、

 

時間が経つにつれ、

 

俺はだんだんと

半信半疑になってきた。

 

考えないようにと言われても、

 

送った彼女の事が気になるし、

腹も立つ。

 

今となっては本当にバカとしか

言いようがないのだが、

 

肉も魚も普通に食って、

モヤモヤしたまま眠った。

 

本当に怖いのはその夜だった。

 

例の彼女と付き合っていた頃の

夢を見たのだ。

 

バレンタインにデートしようと、

待ち合わせをしている場面だった。

 

豪雪で、雪を掻き分けながら

待ち合わせ場所に向かっている途中、

 

不意に彼女が後ろに現れたかと思うと、

赤いマフラーで首を締めてきた。

 

胸が苦しくなって、

ムカムカして気持ち悪くて、

 

抵抗しようとしてもいつの間にか

体が埋まるほど雪が積もっていて、

 

もがきながら苦しんだ。

 

いよいよ意識が遠のいて、

はっと目が覚めると、

 

汚い話だが寝ながら吐いていた。

 

仰向けで寝ていたので

嘔吐物が喉に詰まって、

 

咳き込みながら起き上がった。

 

首には特に、

跡も傷も無かったが、

 

やけにリアルな感覚が思い出されて

気持ち悪かった。

 

その夢が毎晩続いて、

 

吐いて目が覚めるを一週間ほど

繰り返したある日、

 

目が覚めたら病院のベッドに居た。

 

夜中に俺の部屋から

ゴンゴンと音がして、

 

親が様子を見に来たら、

 

嘔吐物を口に詰まらせて

窒息してたのだそうだ。

 

親が俺の携帯から知り合いに

連絡を入れたらしく、

 

何人かの友達が見舞いに来た。

 

・・・その中にSさんが居た。

 

(続く)恋人からの贈り物は気をつけろ 4/4へ

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