金縛り観察
数年前のこと。
私は腐れ縁のO君といつものように飲み、
いつものようにはしゃぎ語らい、
そして終電も無くなり、
O君の家にタクシーで帰りました。
部屋でHなビデオ、音楽などを
聴きながらだべっていると、
O君が「眠いから寝る!」と言い、
さっさと寝息をかいていました。
O君の部屋は4畳半ですが、
実際空いているスペースは
一畳半ほどしかなく、
体の大きな二人が寝るのは
オイルサーデン状態になるしかなく
「こいつ足臭いのう」と思いながら、
一人ぼーっと音楽などを聴いておりました。
ものの1分もしないうちにO君が突然、
「あ~あああああああ・・・!!」と
オペラ歌手を思わせる高音から低音へ
わたる叫び声を張り上げ、
「なにねぼけとんねん」っと思った私は、
むくっと起きあがりO君を見ると、
体を小刻みに振るわせながら
「ふん、ふん、」と白目でうなっておりました。
私は「ハ、ハ~ンこれが噂の金縛りか」
ぴーんときて、さらに観察しようと、
O君に近づきしばらく笑っておりました。
相変わらず白目で振るえているO君に、
私は「やばいんちゃうん」と思いだし、
O君を起こそうとしたその瞬間、
白目だったO君が目を見開き、
(そのときのO君と私の顔の距離約30cm)
重力を無視したように起きあがり、
腰をぬかして後ずさりする私を、
ものすごい形相で追いかけてきました。
私はパニックを起こし、
腰を抜かしているにもかかわらず
戦闘体制に入ろうとしたとき、
O君は私の膝にしがみつき、
一言消え入りそうな声で
「こ、怖かったあああ・・・」
2秒後、大爆笑している私を見みながら
懇々と語ってくれました。
笑い泣きしながら聞いたことなので
思い違いはあるとは思いますが、
O君いわく、
ベランダで白いドレスを着た女性が
立っているのが見えた。
瞬間金縛りに遭い
「うわあああ」と思ったとき、
「そうや、ぷうう(私)がいてる、助けてもらおう」
と必死になって声を張り上げたそうですが、
いつまで経っても助けてくれない私に
愛想をつかし、自力で金縛りを解いたとのこと。
後にも先にも、他人の金縛りを観察できたことは
ラッキー?だったと思い、
今でも酒の肴にしている私です。
(終)