踏切の遮断機の音が怖い
もう20年ほど前のことですが、
踏切事故を目撃しました。
小学校2~3年生くらいの女の子が
子供用の自転車で踏切を渡ろうとして、
踏切のレールの溝に自転車の前輪が嵌り、
倒れてしまいました。
その弾みで、
女の子の片足もレールの溝に嵌ってしまって
抜けられなくなってしまったのです。
昼間でしたから、
周りには人が沢山いて、
女の子を引っ張る人や、
自転車を片付ける人、
各々が助けようとしました。
自転車は簡単に溝から外れたのですが、
女の子の足がどうしても抜けないのです。
そのうち、
カンカンと警報機が鳴り始めたので、
その場にいた男の人が、
慌てて発炎筒を炊いたのです。
ですが、
電車はそれに気づかないのか、
どんどん近づいてきて、
遮断機が完全に下りた頃には、
助けてようとしていた人たちも、
蜘蛛の子を散らすように逃げていきました。
そして、最期に女の子は
「死にたくないよー」と叫び、
次の瞬間、
電車に轢かれてしまいました・・・
情けない話ですが、
私は警報機が鳴った時点で、
怖くて逃げてしまいました。
後になって人づてに聞いたところ、
女の子の足は溝に嵌った拍子に、
足首が曲がって折れていたそうです。
線路を切断しない限り、
助けることが出来ない状態だったそうです。
私は女の子の最期の叫び声を、
聞きませんでした。
轢かれた体も見ていません。
ですが、
未だに遮断機のあの甲高い音が
トラウマになっています。
(終)
つ緊急停止スイッチ