幽霊の影に怯えた老舗のホテル滞在
これは、友人と二人で長崎旅行した時の怪体験話。
某ホテルのツインルームにチェックイン。
その後、坂道だらけの長崎の街を歩きまわってクタクタで戻ってきて、私が先にお風呂に入った。
お風呂から上がって友人と交代した後、ドレッサーに向かって髪を乾かしながらテレビを見ていた。
見ていたのはプロ野球中継だったので、ドライヤーで音声が聞こえなくても気にはならなかった。
しばらくそういう状態だったんだけれど、突然、肩をポンポンと叩かれた。
もう友人が出たのかと思ったので「何?」と振り向いたら、部屋の中には誰もおらず…。
バスルームからは音が聞こえていたのでノックをしてドアを開けると、友人がまだ入っていた。
ドライヤーのコードが肩に当たって叩かれたような勘違いをしたのかな?と無理やり自分を納得させて、友人がお風呂から出るのを待っていた。
しばらくして友人が出てきたので、さっきこんなことがあってオバケが出たのかと思ってドキッとしちゃったと言ったら、友人は真っ青になった。
聞くと、私がお風呂に入って一人の時にベッドの上で荷物の整理をして、その後にベッドから立ち上がったら足首を掴まれたような気がした、と言う。
恐る恐るベッドの下を見たけれど、当然誰もいない。
というか、人が入れる隙間はない。
友人は、何かに引っ掛けたのかな?気のせいかな?と思いながら、なんとなく気になっていたとか。
そんなことがあり、もう夜の8時頃だったけれど怖くなったので、そのホテルをチェックアウトして近くの別のホテルに泊まることにした。
フロントスタッフからは「何か不都合がありましたか?」と聞かれたけれど、言うと呪われるような気がして怖くなり、「急遽予定が変わったので」としか言わなかった。
そのホテルはその年に閉館になったけれど、歴史あるホテルだったらしい。
それ以来、少しぐらい値段が高くても、新しいホテルでないと怖くて泊まれなくなった。
(終)