トラウマになってしまった出来事
ある時期からトマトが食えなくなった。
まだ小学4年生だった時、
踏切での飛び込み自殺を
目の当たりにしたことが原因だ。
近所の人気のない線路沿いには、
遊具が3つばかり置いている空き地がある。
俺はそこのベンチに座り、
棒付きのキャンディーを舐めながら
線路に背を向けていた。
すると、
バンッ!という大きい音と共に、
突然ベシャベシャベシャ・・・と、
後ろの方から無数のトマトが降ってきた。
とっさに振り向くと、
だいぶ先の方で電車が止まっている。
その時に俺は何故か、
「電車の窓からトマトを
投げつけたやつがいる!」
と思ったのを覚えている。
しかし自分の足元を見ると、
どうもトマトではない・・・
誰かの『肉塊』だった。
のちに色々と知識がついてくると、
トマトの種っぽく見えたのは、
肉塊から吹き出した黄色くて小さい
脂肪の粒だったことも分かった。
俺は、まったくトマトが食えなくなった。
肉塊もそうだが、
あの棒付きキャンディーにかかった
トロリとした血が忘れられない・・・
(終)
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