新聞配達員が遭遇した事件
新聞配達のバイトをしていたときの話。
朝早く、道で出会う人や、
家の前にいる人には
挨拶をするようにはしていました。
しんどい思いして早起きしても、
人と挨拶をするのは気持ちの良いものです。
ある日、私はいつものようにせっせと
新聞を配達していましたが、
ある家で新聞受けに新聞を入れるとき・・・。
その家の窓が少し開いていて、
中に住んでいる人の姿が見えたので
「おはようございます」と挨拶しましたが、
返事はありませんでした。
私は特に気にも留めず、
小走りに通り過ぎました。
次の日、その家の新聞受けには
前日の新聞が入ったままでした。
昨日は住人が居たようだったので
不思議に思いましたが、
また少し窓が開いていて、中にいる人が
こちらを見て立っているのが見えたので、
一応挨拶しましたが、返事はありませんでした。
借金取りにでも追われて、
隠れているんだろうか?とか思いながらも、
あまり気にせずに走り去りました。
そのまた次の日も新聞は溜まったままでしたが、
また窓の隙間から住人が、ぼーっと
こちらを見て立っていたので、
少し気味が悪く、さっさと通り過ぎました。
その日の夕方、偶然そこを通りかかったら、
パトカーが止まっていました。
やはり何か事件でもあったんだ
と思いながらも、
その場で誰かに何があったのか
尋ねるわけにもいかず家へ帰りました。
数日後、噂を聞いてぞっとしました。
「あそこの家の人、自殺してたんだって、
首吊って・・・」
(終)