部屋の窓から見える事故現場

私の家は二階建てのアパートで、

 

大通りから少し離れた

細い道に面しています。

 

その道は、近所の小学生の

通学路になっています。

 

車の通りは多くはないんですが、

三ヶ月ほど前に事故がありました。

 

小学生が乗用車に轢かれて

死んでしまいました。

 

その現場というのが、

 

私の部屋の窓から

ちょうど覗ける位置なんです。

 

その事故から二週間ぐらい

経ってからでしょうか。

 

その事故現場には、

 

毎日、新しい花束とお菓子が

置かれるようになったのに気付きました。

 

それから、しばらくした頃に

夜そこを通ると、

 

お弁当箱が置かれているのに

気付きました。

 

注意して、

その現場を気にしていると・・・。

 

どうやら朝に花束とお弁当、

 

小学生が帰ってくる頃にはお菓子、

そして夜にお弁当、

 

と置かれているようです。

 

どうやら、その亡くなった子の

おかあさんか誰かが、

 

毎日その時間になると、

置いていくようだと気付きました。

 

女性がそこにしゃがんで

ぼーっとしているのも、

 

何度か目撃しました。

 

それに初めて気付いた時、

本当に胸が苦しくなりました。

 

少し異常にも思えましたが、

 

子供を亡くすとこうもなってしまう

ものなんだろうなと。

 

それから、しばらく経った夜。

今から一ヶ月くらい前でしょうか。

 

深夜に女性が毛布に包まって

その現場にしゃがんでいるのを、

 

窓から目にしました。

 

さすがに、この時は

少しゾッとしました。

 

その日から、

深夜に窓から覗くと、

 

毎日その女性が毛布に包まり

座り込んでいます。

 

その女性の気味の悪い行動は、

徐々にエスカレートしていきました。

 

初めは座っているだけ

だったのが、

 

話し声が聞こえるようになり、

 

深夜の町に声が響くように

なってきました。

 

話の内容までは分かりませんでしたが、

誰かが警察を呼んだのでしょう。

 

警察に連れて行かれた事がありました。

 

その時の抵抗といったら、

すさまじいものでした。

 

すごい大きな声で、

 

「やーめーてー!」

「はーなしなさーい!」

「ゆう君がこわがっているじゃない!」

 

と言っていると思うと、

今度は

 

「殺してやる!」

「おまえもだ!」

 

なんて、

恐ろしいことも言っていました。

 

それでも、

 

なんとか警察は連れて行ったようで、

声が聞こえなくなるとほっとしました。

 

それからしばらくは、

その女性も来なくなったのですが・・・。

 

二週間ほど前の夜です。

 

窓から覗くと、

また居ました。

 

居たというより、

そこで亡くなっていました。

 

サイレンの音で気がつき、

窓から覗いたんです。

 

そしたら、降ろそうとしている

最中でした。

 

事故現場のすぐそばにある

電柱から。

 

その女性と目が合いました。

 

合ったような気がしました。

 

そして、男の子を

その現場で見ました。

 

警察や消防の人の人だかりから

少し離れたところに。

 

深夜なのに、

ランドセルを背負った男の子を。

 

この子が幽霊かどうかは

分かりませんが、

 

明らかに異様な状況でした。

 

それ以来、窓は決して

開けられなくなりました。

 

窓から顔を出して、

その現場が目に入るのが怖いんです。

 

私は在宅での仕事をしており、

深夜、机に向かうことが多いのですが・・・。

 

机でウトウトすると、

どうしても

 

「おまえもだ」

 

という、女性の声が

聞こえてきてしまいます。

 

アパートの二階は

3部屋あるのですが、

 

私以外の二人は、

すでに引越してしまいました。

 

私も早く出て行きたい。

 

深夜に仕事をしていると、

怖くなってきてしまう。

 

(終)

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