廃墟心霊スポットでの異様な体験

森

 

怖くはないかも知れないが、

異様な体験の思い出を語ってみる。

 

俺は●教大学出身なんだけれど、

 

そこにはマリ出身の”アブさん”という

ニックネームのアフリカ人留学生がいた。

 

当時大学3年だった俺は、

ジェンベという太鼓のサークルメンバーで、

 

新入生の勧誘をやっている時に突然、

黒人の学生が「やりたい!」と言ってきた。

 

ジェンベ

※ジェンベ・・・西アフリカの太鼓。

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肝試しをするつもりだったが・・・

話しを聞くと彼は留学生で、

 

名前がアブディラだかアブドゥルだか

と言うので、

 

俺たちサークル仲間は彼のことを

“アブさん”と呼んでいた。

 

アブさんはジェンベが凄く上手かった。

 

しかも、

 

24歳でサークルの現役メンバーでは

一番の年上だったから、

 

俺たちからは一目置かれて

自然と”さん付け”になった感じだった。

 

そして、

事が起こったのは夏のある夜だった。

 

サークルメンバーの一人で、

同じ3年のNから電話がかかって来た。

 

「俺たちが4年になったら

就活で会う機会が無くなるから、

 

今夜みんなでアライさん家いかね?」

 

確か、夜7時頃だった。

 

「アライって誰だよ。

 

え?心霊スポット?

肝試しすんの?

 

いいよ。

 

アブさんは誘ってない?

じゃあ俺が電話するわ」

 

俺はそんな受け答えをしていた。

 

心霊スポットでアブさんがどう反応するのか

見てみたかったので即電話した。

 

「もしもし、○○だけど。

 

アブさん、俺らと今から遊び、

行くのオーケー?」

 

「えー、レポートやるよ!

でもいいよ。行く、ドコか?」

 

「ゴーストハウス!

あー、メゾン・ド・ファントム?」

 

※メゾン・ド・ファントム

幽霊や亡霊の棲む建物のこと。

 

「それ怖いの所か。遊び違うよ。

嫌だよ。私忙しいよ」

 

「いや、アブさん必要!

アブさん絶対行く!」

 

俺が必死に誘うと、

アブさんは渋々行くことにした。

 

俺たちはNの車に乗り、

アライさん家に向かった。

 

結局、集まったメンバーは、

Nと俺とアブさん、3年のK、2年のI。

 

5人の男だけだった。

 

アブさんが「みんなジェンベ持って来て」

と言うので、

 

俺たちは各自のジェンベを持って来ていた。

 

でもアブさん自身はジェンベではなく、

なにか小汚い布の包みを持っていた。

 

「心霊スポットで演奏会するのか?」

 

みんながアブさんにそう訊いたら、

アブさんはこう答えた。

 

「違う。ファントム危ないよ。

遠くにやるよ」

 

よく分からなかったが、

幽霊が怖いから除霊するらしい。

 

その後にアブさんが自分の計画を

話してくれたんだけれど、

 

それがかなり『奇妙な計画』だった。

 

まず、アブさんは近くの森に一人で入り、

俺たちは廃墟の前でジェンベを叩く。

 

すると、森から男が出てくる。

 

この男はアブさんではなくて、

“ントモ”というエスプリ(精霊)らしい。

 

なので、一見アブさんのように見えても、

ントモと呼ばないといけないという。

 

その精霊が幽霊を追い払ってまた森に帰るまで、

俺たちはジェンベを叩き続ける。

 

これがアブさんの計画だった。

 

アブさんはイスラム教徒で、

酒も豚肉もやらない奴だったはず・・・

 

なので俺たちは、

 

「アブさん、あんたイスラム教徒なのに

なんで精霊が出て来るんだよ(笑)」

 

と突っ込んでみたが、

 

アブさんいわく、

自分はマリのバマナ部族の出身で、

 

父がヨーロッパ人観光客向けの

ビジネスで成功したが、

 

本来はシャーマンの家系で、

 

現地の秘密のサークルの正式メンバー

でもあるから大丈夫だとか、

 

余計に訳の分からない説明で

答えを返されてしまった。

 

そうしてアブさんが森に入って、

俺たちはジェンベを叩き続けた。

 

しばらくすると、

森からなんだか異様な奴が出てきた。

 

そいつはクシを逆さまにして

目鼻を付けたような仮面を付け、

 

テーブルクロスくらいある小汚い布を

頭の上からすっぽり被り、

 

その体の全てを覆い隠していた。

 

そいつは体を大きく左右にくねくね揺すりながら、

俺たちの方に近づいて来た。

 

とっさに俺たちは、

 

「ントモだー!」

「ントモが来た!」

「ントモー!」

・・・・・・

 

などと叫びながら、

ジェンベを叩き続けた。

 

ントモは家の前に来ると、

 

相変わらず左右にくねくねしながら

ヘタな日本語で、

 

「私、ントモだよ!

ントモ怒てるよ!

 

あなたたち死んだの人!

ここいるダメよ!

 

悪いのことよ!」

 

幽霊に怒りをぶちまけていた。

 

すると今度は、

急にさっき出てきた森の方を見て、

 

「行くよ、あなたたち!

 

ントモといしょに死んだの人

たくさんの所に帰るだよ!

 

ントモといしょに帰るよ!」

 

と言って、

 

森に向かってくねくね歩いて

消えていった。

 

俺たちはジェンベを叩くのを止め、

 

不安になりながらアブさんが戻るのを

じっと待っていた。

 

森の茂みがガサガサし、

 

小汚い布の包みを持ったアブさんが

ちゃんと出て来ると、

 

「もう大丈夫よ!

 

ここいたの死んだの人たち、

ントモといしょに帰ったよ」

 

と言ったので、

俺たちはほっとした。

 

そしてその後、

みんなでアライさん家の探検をしたが、

 

あんなのを見せられた後のせいか、

 

なんだか気の抜けたコーラを

飲んでいるような気分だった。

 

(終)

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