ホラー漫画と現実に起きた出来事
俺が小学生の時、読者投稿型のホラー漫画で『皮剥ぎあきちゃん』という話があった。
簡単に内容を説明すると、あきちゃんという名前の女の子が顔の出来物のせいでいじめられ、出来物を取ろうとカッターで自分の顔の皮を剥いで死んでしまう。
そして、この話を聞いた人のもとには、あきちゃんが皮を剥ぎに現れる、というよくあるパターンの話だ。
偶然といえば偶然なんだろうが・・・
この話を読んだ何日か後、俺は祖母が看護師をしている病院のエントランスで祖母の仕事が終わるのを待っていると、一人の女の子が俺に向かって歩いてきた。
7歳くらいの女の子で、顔や腕が傷だらけだった。
女の子は俺の前で止まると、俺を見ながら持っていたカッターで自分の腕を切り始めた。
俺が叫び声をあげるとすぐに看護師さんが飛んできて、その女の子を連れて行った。
祖母に訊くと、自傷癖のある女の子だったらしい。
さすがに”あきちゃん”という名前ではなかったがビックリした。
もう一つ、この漫画の話で身近に起こったことがある。
この漫画の最後に載っていた話で、有名なネズミのぬいぐるみの話だ。
話の内容は、ある女の子がミッキーマウスのぬいぐるみを貰う。
女の子は大切にするが、成長すると共にそのぬいぐるみに興味を無くし、邪魔になって部屋に吊るす。
ぬいぐるみは吊るされて、頭の部分が尖がってしまう。
すると、女の子の頭に激痛が走り、タンコブが出来たように頭が尖がってしまった。
ふと見ると、そのぬいみぐるみの右足が捻れていた。
何日か後、女の子は右足を骨折してしまう。
父親はそのぬいぐるみを不気味がって捨ててしまうが、その日以来、父親の体調が悪くなってしまう。
このぬいぐるみを見つけた人は、きちんと供養をして下さい、お願いします。
大体このような話。
ある日、俺は友人の家へ泊まることになった。
友人の部屋でゲームをしている時、ふとタンスの上を見るとミッキーマウスのぬいぐるみが置いてあった。
それは古いぬいぐるみで、よく見ると頭が尖がっていて右足が捻れていた。
友人にあの漫画の話をすると不気味がり、夕食時に父親に相談したが、笑って相手にしなかった。
友人は自分の部屋に置いておくのは嫌だと言い、父親にそのぬいぐるみを渡す。
父親は、「こんなぬいぐるみの何が怖いんだ」と言いながら、胸にパンチをしたり肘打ちをしたりした。
お酒が入って調子に乗っているようだった。
半年後、父親は建築現場で足を滑らせ胸を強く打ち亡くなった。
あのミッキーマウスのぬいぐるみがどうなったのかは分からない。
偶然といえば偶然なんだろうが、あの漫画には他にどんな話があっただろうか・・・。
もしかすると、他の話も身近に起きているのかも知れない。
(終)