小部屋の奥に隠されていた不可解な状況
これは、私が勤務する学校の話。
男性職員の更衣室の奥には、配電盤のようなものがある『小部屋』がある。
そこには常に鍵がかかっており、マスターキーが無ければ開けることが出来ない。
また、ドアの前には誰かの荷物や段ボールが積まれていて、その部屋の存在すら気が付いていない職員が多かった。
最近になって、サーバーの配線の関係で、調査中にその部屋を開けることになった。
マスターキーで鍵を開けて中に入ってみたところ、二畳ほどの部屋の奥に、さらにドアがあった。
図面にも名前が付いていないし、「何の部屋だろう?」と開けてみると、そこはコンクリ打ちっぱなしの一畳ほどの空間だった。
不気味だったのは、その床に半畳ほどのゴザが敷かれ、その上に学校で使用しているカーテンを畳んで敷き、さらにその上にレースのカーテンを畳んで敷いた上に、ドア側に頭を向けた『真っ黒なテディベア』が寝かされていたことだ。
間違っても生徒がイタズラで入れる場所ではなく、マスターキーを持っているのは管理職と事務職員くらいしかいない。
転勤した職員にも見たことがあるか聞いてみたが、誰も知らなかった。
そして、再度数人で確認しに小部屋に入った時、さっきまで真上を向いて横たわっていた熊が、右肩を下にしてドア側に少し顔を向けたポーズに変わっていることに気が付いてしまった。
その後、誰もその部屋に確認に行こうとしなくなった。
私達は全員、その部屋も、テディベアのことも見なかったことにして、二度と触らないことにした。
(終)