消えてしまったクラスメート
小学3年生の時に転校してきたサキちゃんから聞いた話。
サキちゃんがまだ1年生だった頃、とても仲の良いユキちゃんという女の子がいた。
ある日、ユキちゃんが学校に宿題を忘れてしまったらしい。
忘れ物に気が付いたのは夕方だった。
一人で取りに行くのは怖いからと、サキちゃんも付いて行くことになった。
学校に着くと、ユキちゃんは教室に宿題を取りに入り、サキちゃんは教室のすぐ外で待っていたらしい。
けれども、何分経ってもユキちゃんが教室から出てこない。
不思議に思って教室の中を見たら、ユキちゃんは居なかった。
そんな子はいない
教室のドアは閉まっていたし、開けたら音ですぐに分かるから、気付かれずに出ることは出来ない。
教室にベランダはなく、窓も全部閉まっていた。
怖くなったサキちゃんは、そのまま家に帰ってしまった。
次の日、学校に行ったら教室にはユキちゃんの机が無かった。
担任の先生にユキちゃんのことを訊いてみたら、「そんな子はいない」と言われてしまった。
同じクラスの子に訊いてみても、答えは同じ。
それでも信じられなかったサキちゃんは、帰りにユキちゃんの家へ行ってみたが、そこは空き地になっていた。
サキちゃんの話はここで終わった。
この話をした次の日、サキちゃんは急にいなくなった。
転校をしたという話はなかった。
担任の先生に訊いたら、「そんな子はいない」と言われた。
「サキちゃんがした話と一緒だ!」と思って、一緒に話を聞いていた子達にサキちゃんの事を訊いてみた。
すると、一人はサキちゃんを覚えていたけれど、他の子達はサキちゃんを知らないと言った。
今ではそうでもないけれど、当時はとても怖かった。
(終)