心霊スポットで撮ってきた危ない写真 1/2

写真

 

大学のサークルの関係で、漫画家のアシスタントのバイトをしていた時期がある。

 

高円寺の北にある先生の自宅に伺い、5人くらいの編成で一人一晩1万円。

 

僕の担当は、背景とトーンワークだった。

 

そのアシスタント達の中に一人、結構な変人がいた。

 

名前は守山くんという。

 

黒ブチのメガネをかけた、見た目は普通の好青年だ。

 

彼も大学生。

 

その守山くんは、来る度にニコニコ笑いながら心霊写真を持ってくる。

 

これが毎回、なかなかにエグい。

 

彼がアシスタントに来ると先生もその輪に入ってしまい、なかなか仕事にならない。

 

だがこの日、彼が持ってきた写真はいつにも増してヤバかった。

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危ないモノを呼び込んでしまう

「この前、K野神社で撮ってきたんですよ。天気も良くて。いや~凄かった」

 

フィルム2本で48枚のプリントは、冗談でなく全てがおかしかった。

 

まず、全部が粒子の色が泡立っていて砂地のように見える。

 

どの樹木を写しても、木の葉の影に髑髏(ドクロ)が無数に見える。

 

階段を撮っても、そこに落ちる木立の影が牛の頭の骨に見える。

 

写真のどこかに霊体が・・・というレベルではない。

 

全ての写真の全面に写っているのだ。

 

ここまで来ると、皆が黙りこくってしまった。

 

普段は「スゲ~」だの「ヤベ~」だの騒いでいる先生も静かになっている。

 

それらは息を呑む作品群だった。

 

夏の暑い日、窓を開けているのに部屋の温度がどんどん下がってきているのが分かる。

 

「いいすっか。次の写真は絶対に論評しちゃダメっすよ。口にするとヤバイ。マジで」

 

守山くんは、この日の”とっておき”をペラリと出した。

 

「・・・これ、誰ですか?」

 

「ああ、彼?一緒に行った鈴木」

 

あまり悪い事は言いたくないが、正直、素人目に見ても彼は長生き出来ないのではないかと本気で心配になる写真だった。

 

いや、この鈴木さんという人物、本当に人間なのだろうか?

 

それすらも怪しい。

 

心霊写真を見ただけで涙ぐんでしまったのはこれが初めてだった。

 

平らな場所に、その鈴木さんが両手を後ろ手に組んでこっちを向いて笑っている。

 

太陽は彼から見て右手の頭上にある。

 

故に、影は彼の左下、つまり写真に向って右下に伸びるはずだ。

 

だが、この影がとんでもなかった。

 

まず、彼の影が彼の足元に繋がっていない。

 

ここから既におかしい。

 

影の片手が上がっていて、長い杖みたいなものを持っている。

 

(なんだろう、これ?)

 

背中には、一際大きな影が。

 

(これは翼?)

 

頭には角のようなものも。

 

(もう勘弁してください・・・)

 

ダメ押しに、尻尾のようなものが腰から。

 

(これではまるで悪・・・)

 

同じ言葉を、よりにもよって先生が呟いてしまった。

 

「・・・これは・・・まるで、ア・・・」

 

「それを言うなぁあ!!」

 

守山くんの、鋭い声の一喝が響いた。

 

びっくりして振り向くと、鬼のような形相で部屋の片隅を見つめている。

 

顔を真っ赤にして、冷や汗をかいてブルブル震えている。

 

「その窓を閉めろ!」

 

言われるがまま、弾かれるようにアシスタントの一人がその窓に駆け寄った瞬間、カーテンを引き裂いて何か白い塊が飛び込んできた。

 

それは凄い速さで部屋の中を通り抜け、向こうの開いている窓から飛び出して行った。

 

本当に一瞬だった。

 

一番間近にいたそのアシスタントは、失禁して気絶していた。

 

僕たちもさすがに腰を抜かして、しばらく立てずにいた。

 

「もう、大丈夫っす」

 

守山くんの一言で、ようやく皆が無言で自分の位置に戻る。

 

それからは誰も話をしようとしなかった。

 

「これじゃ仕事にならねえな・・・」

 

先生が呟いた。

 

(まあ、確かに)

 

「今日は終わり。これで酒を買ってきて。でもみんな朝まで居てくれよ。俺が怖いから」

 

その後は怖がっている先生を囲んで酒盛りになった。

 

守山くんは足の竦(すく)んだアシスタントを2人引っ張って酒を買いに行く。

 

失禁したアシスタントには先生のトランクスとジャージを貸してシャワーを浴びさせている。

 

まだ放心している先生は座らせておいて、僕は酒盛りの用意をし始めた。

 

それまで皆が使っていた飲み物のコップを一回洗っておこうとしてギョッとした。

 

誰かの麦茶の飲み残しが、ガチンガチンに凍りついていたからだ。

 

酒を買いに行っていた守山くん達が帰ってきたのは1時間後だった。

 

ビールとつまみを、新聞を敷いた床にガラガラとあけて酒盛りが始まったのだが、静かだ。

 

皆、さっきのことを訊きたくて仕方がない。

 

だが、誰も切り出せない。

 

守山くんは一人だけ黙々とビールを腹に流し込み、平気で柿の種をバリバリ喰っている。

 

「なあ・・・さっきのは・・・」

 

堪りかねて話しかけたのは先生だった。

 

(先生、実は相当に我慢弱い)

 

守山くんの手が止まった。

 

(続く)心霊スポットで撮ってきた危ない写真 2/2

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