あなたが友達で私はとても幸せ
中学の頃、私のクラスには体毛がかなり濃い女の子(以下、A子)がいました。
A子は体毛が濃いという理由で5~6人の男女にイジメられていたのですが、担任の教師は見て見ぬ振り。
私も完全に見て見ぬ振りをしていました。
でも、A子には一人だけ友達がいました。
違うクラスでしたが同じ部活で、彼女に優しい女の子(以下、B子)でした。
しかし、そのB子もイジメのことは知っていたみたいなのですが、担任には言えなかったようです。
間違った友情
ある日、イジメていたグループとA子がクラスにいませんでした。
A子の親がやっとイジメに気が付いたらしく、2時間目の終わり頃にイジメていたグループがクラスに帰ってきました。
私はその中の一人に何があったのか聞くと、A子が腕の皮膚を刃物か何かで切られていたそうで・・・。
しかし、イジメていたグループは何もしていないと言うのです。
A子はその日から学校に来なくなりました。
それから何日か経ったある朝、女子トイレに大量の長い毛や短い毛、それに血までが散乱していて、学校中がパニックになりました。
「A子がやったに違いない!」と、クラスのみんなは担任に言いました。
すぐに担任はA子の家に電話したそうですが、A子は家にはおらず、担任はA子を探しに行きました。
A子は学校の近くの公園で、B子と一緒に居るところを担任に見つかったそうです。
A子の髪の毛は雑に切られ短くなっていて、眉毛は無く、腕や脚の毛は皮膚ごと剥がされている部分もあって、とても気持ち悪くて汚ない様子だったそうです。
どうしてこうなったのかと担任がA子を問い詰めると、「B子ちゃんが綺麗にしてくれたんだ。B子ちゃんが友達で私はとても幸せ」と言ったそうです。
A子はそのまま学校に来ることなく引っ越しました。
当然のことなのですが、A子とB子を見つけた時の話を、担任は私たちには喋りませんでした。
それなのに、何故こんなに詳しく知っているのかといえば、それから2日後に学校へ来たB子が、クラスのみんなにA子の悪口を混ぜながら楽しそうに話してくれたのです。
友達思いの友達を持って、B子は幸せそうでした。
(終)