歪んだ先の向こう側には一体何が

学校の廊下

 

中学生の時だったかな。

 

休みの日、

友達に公衆電話から呼び出されて、

 

部活なんかもやっていない俺は、

しぶしぶ学校に行った。

 

そいつは野球部のヤツで、

 

何で公衆電話からなんだろう、

と少し変に思いながら・・・

 

部活が終わったのがその時間なのか、

呼び出されたのは夕方で、

 

日もすでに落ちかけていて、

学校内も人がまばらになっていた。

 

さすがに職員室には先生が数人

居たと思うけれど、

 

友達が来てくれと指定した場所は、

3階の教室の前だった。

 

階段を上り、廊下に出ると、

 

夕陽のまぶしい光が直接、

目に飛び込んできた。

 

少し目がくらんで、

その後よく廊下の先を見てみると、

 

ぼんやりとした人影があった。

 

俺はそいつが友達だと思って、

目をこすりながら近づこうとしたが、

 

待てよ!?何かおかしいぞ?

という事に気がついた。

 

廊下が歪(ゆが)んでいる。

 

歪んでいる・・・

というのは誇張でもなんでもなく、

 

何度も目を凝らしたけれど、

 

本当にグニャグニャと

陽炎みたいになっていた。

 

廊下の脇に角材が置いてあり、

それも途中までは真っ直ぐになっていたが、

 

途中からグニャグニャと歪んで揺れていた。

 

そして、俺を呼び出した友達が、

その歪みの向こう側に居ること。

 

終始逆光で、

黒い影しか見えなかったこと。

 

よく考えれば不可解なことだと

一瞬で頭を駆け巡り、

 

逃げようと決めた、

その時だった。

 

影が突然縦に細くなり、

もの凄い速さで揺れ始めた。

 

影絵『パンを踏んだ娘』のような感じで、

グニャグニャ、グニャグニャと。

 

※参考:影絵『パンを踏んだ娘』

12:52~のイメージだと思われます。

後編はこちら

 

慌てて階段を駆け下り、

 

1階の職員室に飛び込むまで、

とても長く感じた。

 

事情を説明しても信用されるとは考えず、

でも先生に会えた事で少し安心感が湧き、

 

苦笑いで部屋を後にした。

 

結局、やっぱりというか、

 

その友達は俺を呼び出してはいない、

ということだった。

 

学校が結構田舎くさい場所にあったから、

 

何か因縁めいた話でもあるのかな・・・

と思っていたが、

 

そういう話も無く、

謎のままで終わってしまった。

 

ただ今でも、

 

あのまま歪んだ先へと行っていたら

どうなっていたのか・・・

 

ということだけは、

あまり考えないようにしている。

 

冒涜するような真似はもうしまい、

と心に誓った。

 

ご冥福をお祈りします。

 

(終)

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