救急車から降りてきたダンディなおじさん

救急車

 

数年前、俺は毎週土曜日の夜中に駅前で弾き語りをしていた。

 

そんなある日、休憩のために煙草を吸いながらボンヤリしていると、救急車が近くに止まった。

 

「週末の駅前だから急性アルコール中毒で倒れる人も多いしなぁ」と思いながら担架で運ばれる人を見ていたら、救急車からダンディなおじさんが降りてきた。

 

しかし、救急隊員らはそのおじさんに気付かず、担架に乗った人にだけ声をかけている。

 

どうやら、おじさんは他の人には見えないらしい。

 

歩道でおじさんはキョロキョロとしていたけれど、救急隊員らは担架に乗せた人を救急車に乗せて扉をバターンと閉めてしまった。

 

おじさんは「えっ!?」という表情をするものの、救急車はさっさと行ってしまった。

 

歩道に置き去りにされてオロオロしているおじさんをニヤニヤしながら見ていたけれど、困ったおじさんは暫くしてからなぜか歩道の植木に登ってションボリしていた。

 

その後、置き去りにされたおじさんは、数週間後に居なくなっていた。

 

(終)

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