平凡なのに評価や期待をされるワケ
私は小さい頃から、歌が上手いというわけではないのに評価される事が多く、音大に進学しました。
練習しない、煙草を吸う、嫌いな歌は歌わない、と素行が悪かったにもかかわらず、そんな私に対する先生達の評価はとても高く、また期待もされており、おかげで私は学内では嫌われていたと思います。
そんなある日、帰宅後の夜中にお風呂でシューベルトの『魔王』という歌曲を歌っていたところ、廊下に面した磨りガラスの窓越しにベッタリと両手を付けて覗き込んでいる人がいました。※『魔王』のリンク先はYoutube
「さすがにうるさすぎたかな?」と窓を開けて謝ろうとしたら、誰もいませんでした。
あの霊がいなければあなたなんて・・・
ちなみに、当時住んでいたマンションは大学の近くだったので、防音壁にピアノ持ち込み可と、音に関してはかなり寛大だったと思います。
それ以降も、マンションの管理会社から苦情等の連絡もなかったので、またお風呂で歌っていました。
そしてある日、また魔王を歌っていたら窓に人影が。
しかし私は怖いとは思わず、「コイツは魔王を歌えば来るのかな?」と考察し、しばらくの間、魔王を歌ったり他の歌を歌ってみたところ、やはり魔王の時にだけ現れます。
それも、お風呂場で歌っている時にだけです。
それが分かってからも特に気にせず、気が向いたら魔王を歌い、アイツが窓越しに覗いているのを私は見ていました。
何のオチもないのですが、一度”自称霊感持ち”の先輩から、「今憑いている霊がいなければあなたなんて落ちこぼれるわよ」と言われた事があります。
もしかして、それはアイツの事だったのでしょうか?
私は大学を中退し、現在は実家暮らしなので、あのマンションにアイツが今もいるのかどうかは分かりません。
あとがき
その後、歌は本格的にはやっていません。
でもよく言われるのが、「技術的には未熟なのに不思議と魅力的」と。
全く関係のない話になりますが、小さな生き物が私の傍にいると、どんなに大事に育てても必ず早死にしてしまうので、私はペットが飼えないし、仮に結婚しても子供は無理なのかな・・・と思っています。
(終)