絶対に入ってはいけない温泉 2/2

すぐにAとBに連絡を取り、

 

Aとは連絡がついたが、

B宅に電話を掛けると、

 

とんでもないことに

なっていた。

 

電話に出た

Bの妹が言うには、

 

Bが風呂で滑って転び、

 

ドアの縁の部分に

頭を強く打ちつけ、

 

意識がないのだということ。

 

すぐに2人で病院に行き、

一晩中を病院で過ごしたものの、

 

結局、

Bの意識は戻らなかった。

 

次の日の夜、

Bは死んだ。

 

昼間には俺たちの問いかけに

反応するまで回復したのだが、

 

夜になって容態が急変し、

そのまま亡くなった。

 

Aに俺の経験したことを報告し、

 

これは間違いなく祟りだろう

と伝えた。

 

Aは昨日の晩、

 

風呂に入る前に俺から電話が

かかってきて助かっていたが、

 

祟りだろうという認識は一致した。

 

しかも、AはBの妹から、

とんでもないことを聞いていた。

 

Bは、あの温泉に行って

足湯につかった時、

 

何者かに足を

掴まれていたという。

 

Bは俺らを不安に思わせないよう、

黙っていたのだろうか。

 

Aと俺は、

強く責任を感じた。

 

タブーではなくなっているという

デマを教えてしまったA。

 

そもそも、

最初に行こうと言い出した俺。

 

結局、

 

それで一番関係のない

Bを巻き込み、

 

死なせてしまったのだ。

 

Bの家族にこのことを伝えたら、

どんな顔をするだろう。

 

Aと俺は、

 

しかるべき時が来るまで

黙っていようと一致した。

 

しかし、

 

Bの妹が誰かに

言いふらかしたのか、

 

Bが例の温泉の祟りで

死んだということは、

 

田舎のこの町に噂として、

あっという間に広がった。

 

もちろんそれは、

 

あの日、俺が風呂で

失神していたのを救出した、

 

俺の両親の耳にも

入ることになった。

 

しつこく問い詰められた俺は、

 

ついに、あの日3人で

例の温泉に行ったことを

 

白状することになった。

 

すぐに、Aの家族、

Bの家族と俺の家族、

 

地元の温泉連合の人たちが

集まることとなった。

 

Bの母親は、俺とAを

白い目で見つめていた。

 

連合会長の爺さんに、

会合が始まるや否や、

 

「ったく、お前は、

 

あれほど立ち入るなと

言ったのに!」

 

と怒鳴られた。

 

連合の人たちから、

 

「あの温泉の怨念は、

 

弱まるどころか

年々高まっており、

 

観光客が立ち入ってしまうのも

そのためだ。

 

立ち入った観光客は、

 

何者かに引き寄せられるかのように

あの温泉に入ってしまったと、

 

皆話している」

 

と聞かされた。

 

そして、

 

あの温泉の名は、

こちらの地方の古い方言で、

 

「二度目、再び」

 

という意味であり、

 

祟りも二度、

 

あの温泉に立ち寄ったものに

降り注ぐというのだという。

 

会長さんは、

 

「Bは一度目か二度目かは

知らないが、

 

何かあの温泉の霊たちにとって、

 

気分を害することをしてしまった

のかも知れない」

 

と言った。

 

さらに、Bのお袋さんからも、

とんでもないことを聞かされた。

 

小さい頃、

 

俺らが温泉に入ろうとしたところに、

たまたま通りかかった、

 

俺らを連れ戻した

トラックに乗ったおっさん。

 

あの人は、てっきり

地元の人だと思っていたが、

 

Bのお袋によれば、

あんな人は見たことなく、

 

当時、AとBの母親も、

不審に思っていたという。

 

そして、

 

連合の人に相談し、

もしやと思い、

 

例の温泉の事故によって

亡くなった人の写真を見ていくと、

 

おっさんとよく似た人物が

いたのだとか。

 

「あの温泉に立ち入るなと、

わざわざ警告してくれた・・・。

 

それなのに・・・」

 

Bのお袋は泣き崩れた。

 

連合の人によれば、

 

「この地から、

なるべく離れること。

 

お祓いされた桶を渡すから、

それを風呂場だけではなく、

 

事故の危険がある

水場の近くに行く時は、

 

なるべく持ち歩くことが

祟りを絶つ方法」

 

だと教わった。

 

俺と両親は、

この地を離れる覚悟をした。

 

これが大体の経緯です。

 

 Aも、あの土地を離れようと

したのですが、

 

両親から、

 

「代々農家として暮らしてきた

私たちも、あんたも、

 

都会に出て暮らせる

わけがない」

 

と猛反発を受け、

 

結局、残ることに

なってしまいました。

 

それからは、

周りからの避けるような視線、

 

Bを死なせてしまったことへの

責任感、

 

色々なものが積もって

いたのでしょう。

 

数回、

 

その土地から離れたところで

Aと会ったのですが、

 

その苦悩はよく分かりました。

 

自分も、AだけにB死亡の

事故の責任を取らせまいと、

 

必死に励ましたのですが、

 

Aは昔から悩みを自分だけで

抱え込みやすいタイプなので、

 

なかなか事態はいい方向へ

進展しませんでした。

 

Aが、このままではどうにか

なってしまうのではないか、

 

と思っていたのですが、

 

ちょうど就職活動で

多忙なこともあり、

 

結局、最後の1年は、

Aとは会えずじまいでした。

 

Aが自殺した・・・

と連絡を受けたのは、

 

なんとか就職も決まり、

 

もう一度Aと会おうとしていた

矢先のことでした。

 

もちろん葬式には出させて

もらえなかったので、

 

断片的にしか情報がありませんが、

 

風呂の中でリストカットし、

死亡していたとのことでした。

 

その場にお祓いされていた桶が

あったかどうかは分かりません。

 

ただ、

 

A自身の意思で自殺という

選択肢を選んだとすれば、

 

それはもはや、祟りとは

関係なくなってしまいます。

 

何者かに引き寄せられるように

風呂場での死を選んだとしたら・・・。

 

やはり、祟りということに

なってしまいます。

 

死亡に至る経緯はどうあれ、

 

結局、自分は2人の親友を

亡くしてしまいました。

 

この事件のきっかけを

作ったのは自分です。

 

そして、

 

Bがその煽りを食らった

形になって死にました。

 

自分だけが逃げることが出来る

立場なのをいいことに、

 

Aを放置して、

結局Aまでも死なせてしまいました。

 

桶のおかげか、

 

今でも周りに不可解な現象は

あまり起きません。

 

しかし最近になって、

 

自分は、もはや

○○温泉の霊よりも、

 

AとBの2人に祟られているような

気がしてきました。

 

今でも、あの温泉は

あるのでしょうか。

 

自分にはよく分かりません。

 

(終)

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