中学時代からの女友達との話 1/3
注※この話はグロテスクな描写が含まれています
仮に佳織としておく。
もともと小学校も同じで、
五年六年と同じクラスだったが、
話すことなんてなかった。
佳織は一人でいることの方が
多い子だったと思う。
中学に進んで、
同じ小学校から来た奴で
同じクラスになったのが、
佳織ともう一人しかいなくて、
席も近かったことから
話し掛けたことが、
佳織と友人になるきっかけだった。
そのうち、
もう一人の同じ小学校から
来た奴(仮に順一とする)とも
よく話すようになり、
俺と佳織と順一は、
三人グループっぽくなった。
佳織と仲良くなって
しばらく経った頃、
自分の家のこととか話題にしたら、
佳織も自分の家のことを話した。
佳織は母方が中部のどこぞの
田舎の神社の宮司の家系で、
父方は北日本のある地方の
豪農(今はわりと落ちぶれているらしい)の出身。
※豪農=富裕農家
この一族も、行者とかになる
人が多かったらしい。
俺「なんかすげえな。
じゃあお前、
見えたりするの?
霊とか(笑)」
佳「見えるよ」
俺「(・・・まじかよ)
どんなの見えるの?」
佳「ふざけて言うことじゃないし・・・」
佳織はそれ以上、
話してくれなかった。
いつまで経っても
その手のことは話さなかったので、
冗談かなとも思ったけど、
ある日、
冗談ではないことが分かった。
佳織と友人同士になってから
何ヶ月か経った二月。
バレンタインで俺は別のクラスの
女子からチョコレートをもらい、
めちゃ嬉しくて佳織や順一に
自慢していた。
俺「やったー。
もらっちゃったよ。
俺、実は初めてだったり
するんだけど」
順「いいなー。
俺も欲しいよ、ホント」
佳「あのさ・・・広志くん(俺の仮名)、
それ、食べない方がいいと思う」
俺「え?」
佳「ちょっと、やばいと言うか・・・
気持ち悪いよ、それ」
いきなり佳織が変なこと
言い出したんで、
俺も順一も訳分からん
という感じだった。
俺「え?なにそれ?
どゆこと?」
佳「なんかね、強すぎる。
本人に悪気はないと思うけど、
結構色々入れてて・・・
なんて言うのかな・・・
呪いみたいになっちゃってるよ。
身体、壊すかも知れない」
俺「はぁ?
お前、何言ってるの?」
せっかくもらったチョコレートと、
それをくれた人をけなされてるみたいで、
俺はちょっと腹を立てて
佳織と喧嘩しかけたけど、
順一が「まあまあ」と止めてくれて、
結局、俺の家でチョコレートのうち
何粒かを溶かしてみることになった。
十粒くらいあったやつのうち、
三粒取って溶かしてみたんだけど、
「ギョエ!」っという感じだった。
二つからは、
ほんの少しだけど、
細かく切った髪の毛みたいな
ものが出てきたのだ。
あとの一つからは
特に何も出なかったんだけど、
ずっと湯煎して溶かしていると、
そのうち変な臭いがしてきた。
俺「・・・何これ?
これもなんか入ってるの?」
佳「・・・分からないけど、血かな?
ひょっとしたら生理のかも。
でもそれ以外かも」
俺も順一も気持ち悪くて
たまらなかった。
結局、チョコレートは
くれた人には悪いけど、
全部捨てることにした。
佳織は呪いとか言ってたけど、
それ以前に身体に悪そうなので。
佳織は見ただけで中に何か入っている
ということが分かったわけで、
俺も順一も、佳織の「見えるよ」を、
信用するようになった。
さらにそれから一年ほど経った
中学二年の十二月、
冬休みの少し前のことだった。
俺と佳織は同じクラスのままで
相変わらず結構話してたけど、
順一は別のクラスになっていた。
ある日の放課後、
久しぶりに順一と会って
話していたら、
佳織も昇降口にちょうど降りてきて、
三人で帰るかということになった。