不思議な石を拾ってから 2/4

友人Aだった。

 

『今日暇やねん。

○○(昨日行ったバー)で飲もうや』

 

おいおい、

昨日も飲んだやん!と思いつつも、

まあ別にする事も無く、

寝ようと思ってたからOKした。

 

「オマエもたいがい暇やな。でも俺、

今日起きたら右手上がれへんくって、

バイクでは無理やわ。自転車でいくわ」

と返事し、

 

「うそ!怪我したん?原因わからんの!

大丈夫なん?そら大変やな。

ほんじゃ、また今度にしようや」

とAは言ったが、

 

「ええよ、行けるから」

と、行く事に。

 

距離的にもまあ行けない事もないし、

片手がちょっと慣れてきた事もあり、

難なく到着。

 

年末だからか、

バーに客はAしか居なかった。

 

第一声僕が、

「でもそういやオマエ、何で家に電話したん?

携帯にくれたら良かったのに」

と言うと、

 

A「ひっさしぶりやなーしかし。

元気しとったか?って手上がらんねんな。

つうか、オマエの古い番号しか知らんし」

 

「アホ、何言うてんのん。

今日やん別れたん。今日。

まだ酔うてんのかぁ?」

 

A「今日て?何言うてんの?オマエ、

今日なんか会ってるわけないやん」

 

「昨日から今日という意味や。

もうえぇって!とりあえず、

ちゃりんこ片手運転して来てんから、

ビールぐらい飲ませろや」

 

A「わけわからん。久々に会ったら

キモさ爆発やなオマエ」

 

「おっ!とりあえず。

何かわからんけどお疲れー!」

 

乾杯。

 

「つうか、昨日の帰りの事

全然覚えてないねんけど、

オマエちゃんと帰れた?」

 

A「オマエな、さっきから何

キモいこと言ってんのん?

頭おかしいんちゃうか?」

 

「○○さん!(マスターの名前、以下マ)

昨日こいつと俺、来てたやんな!」

 

「いや、二人とも来てへんかったよ」

 

気になって携帯の着信履歴を見た。

昨日の着信は3件。

 

その中にAの名前は何故か無かった。

 

というかマスターいたっけ?

と自問自答。

 

A「あ~ぁ、こいつの嘘バレバレですよね~」

 

「ちょ・・・嘘ちゃうって」

 

と、昨日の状況を思い出そうとしたが、

何故かどうしても思い出せない。

 

かろうじて覚えている、

「やっぱ今日、オマエ誘っといてよかったわ。

これに懲りずに付き合ってや」

という事を言うと、

 

A「俺そんなん言ってないし、夢ちゃうん?

それ、夢やって。ああ夢、夢」

 

「いやそんな事無いって。

でも、全然思い出されへんねん。

何でやろ?」

 

A「オマエ、一回病院行った方がいいんちゃう?

記憶ないって何か怖いやん」

 

「ちょう待てって。じゃあ、

オマエの言う事がホンマやとして」

 

A「俺はオマエの携帯番号も知らんし、

昨日オマエと飲んでも無い。というか

大阪におらんかった。証拠もある」

 

と言って、福岡市にあるホテルの領収書を

見せてきた。

 

日付は今日の午前チェックアウト。

 

どうなってんの?これ。

俺、頭おかしくなったんかな?

 

僕が整理のつかない頭で、

「うおー!思い出されへん!」

ともがいてる時、Aが突然言い出した。

 

「ちょっと真剣に聞いてほしいねん」

 

Aはちょっと寂しそうに話した。

 

A「明日な、○○(Aの弟)の命日やねんな?

でやな、何かしらんけど、お前らの夢を見た訳よ。

で、懐かしくなってというか、まあ後で言うけど、

オマエに会わなあかんと思った。

 

弟死んだん5年も前の事やから、

オマエは忘れてるかも知れんけどな、

昔はよう遊んだな。悪さして。(笑)

 

あの日な俺、弟死ぬん何となく知っててん。

これは後やから言える事かも知れんねんけどな。

 

何かな俺、昔から知ってる人とかの夢を、

何日か立て続けに見る事があるねん。

 

何か最初は白黒やねんけど、

途中からセピア色というか、

真っ赤に変わっていくねん。

 

その後、その人にあんまり良くない事が

起きるような気がするねん。

 

怪我とか、あと、死んだりとか・・・

 

で、弟の時も1週間くらい前から

そういう夢見てて(弟の夢)

 

偶然かも知らんけど、

弟の時も真っ赤になってん。

 

その後、あいつ死んでもうた」

 

「死ぬんがわかる?んなわけないやん!

オマエもうちょっとマトモな嘘付けって!

言っとくけど、俺のは嘘ちゃうで!」

 

「いや、死期がわかる人っておるらしいで。

俺の連れもそんな事言ってた奴おった。

そいつのオカンもそういう人やった」

 

A「まあ、おれがそうかどうかは知らんけど、

結果そうなってしまったんや」

 

「まあええわ。で?

その、死ぬんがわかる夢って」

 

A「そう、昨日見た夢や。

いきなり3分の1くらい真っ赤やった。

 

正直こんなん初めてやし、

どうして良いかもわからんし、

とりあえずオマエに会いに来たっちゅうわけや。

 

詳しく言えば、

何か草原みたいなとこにオマエと弟がいて、

その草みたいなゆらゆらした地面が真っ赤やった。

ちょうどこれくらいかなぁ」

 

と、膝下位を指した。

 

(続く)不思議な石を拾ってから 3/4へ

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