不思議な石を拾ってから 3/4

A「だいたい赤い夢見る時は、白黒から

ジワーってゆっくり変わって行くんやけど、

いきなり赤いのは見た事無いから、

びっくりしてん」

 

「俺どないかなるかも知れんってこと?

この手かな?」

 

A「それはわからん。そうかも知れんし、

違うもんかも知れん」

 

「死ぬかも知れんということ?」

 

A「わからんねん。そればっかりは」

 

「でもな、いきなりそんなん言われても、

信じられるわけないやん!」

 

そんなやり取りをしてると、

Aが泣きそうな顔で言った。

 

A「その夢にな、俺もおってん」

 

「俺と弟ちゃうんか?そんなん

最初に言わんかったやん」

 

A「言うたら死ぬんちゃうかと思って、

言えんかった」

 

「そうか、俺は死んでもええと、

オマエ最悪やな」

 

A「死ぬとは決まったわけじゃないって、

ただの夢やし」

 

「そうやな。ただの夢でギャアギャア

言うなよ。(笑)シャレにならんでほんま」

 

実は僕はかなり怖かった。

 

ただAの出来の悪い夢を笑うしかなかった。

でも、それは笑えない事だと思い始めた。

 

今朝見たジーパン!

 

頭の中がむちゃくちゃになってきた。

昨日、僕はAと会ったのか?

 

会ってないとすれば、

一体誰に会ったのか?

 

というか、どこに行ってたのか?

AではないAと?

 

携帯の番号も知らない、

バーにも来てない、

Aの見た赤い夢、

膝下が赤く染まる夢、

 

今朝見た、膝から下がどす黒く

濡れていたジーパン。

 

一気に押し寄せてきて頭が痛くなり、

耳鳴りもする。

 

あまり酔っては無かったと思う。

 

今はもう何も考えられない、

無理だ、もう帰ると言うと、

Aが送って行くと言い出した。

 

それを僕は断った。

何となく嫌な気分になったから。

 

Aと僕はバーを出た。

 

Aはまだ何か言いたそうにしていたが、

構わずに自転車に乗った。

 

Aは最後に、

「気をつけて帰れよ」

と言った。

 

僕は、

「オマエ、人の事言えへんねんで」

と言った。

 

笑うと思ったが、

Aは真顔でうなずいた。

 

僕は慌てて目を逸らした。

何か分からんけど嫌な感じだった。

 

自転車片手運転で家に到着。

 

到着するなり、誰かに後ろからドンと

背中を押された。

 

その直後、携帯が鳴った。

 

後ろを振り返ると誰もいなかった。

電話はAだった。

 

「何?どうしたん?」

 

A『どうしてるかなと思って』

 

やたら元気な声に、

さっきのは嘘だと直感した。

 

ふざけてるのかと、

Aに何か言ってやろうと思った。

 

「何が、どうしてるって何?」

 

A『大丈夫か?昨日さ、

あんだけ酔っぱらってたやん二人共』

 

「う、うん・・・で?」

 

A『ちゃんと帰れたかなと思ってな』

 

何か違う。

今度は違うのがわかった。

 

何か・・、

さっき会ってたAじゃ無いのがわかった。

 

雰囲気か?

空気みたいなものが違う気がして。

 

「オマエ何言ってんの?・・・

オマエさ・・・A?」

 

A『・・・迎えに行こうか?』

 

「来んでええ、来んでええ!」

 

A『迎えに行こうか!?』

 

「来るな!来るな!・・・」

 

途中、携帯で喋ってたはずが、

頭の中でぐるぐる声が回る感じになり(昼と同じ)

多分、気絶したんだと思う。

 

朝、玄関の入ったところで寝ていた僕を

起こした母が一言。

 

「あんた、ええ年して、

おねしょするってどういう事?」

 

黒のパンツが、腰辺りから下が

びっしょり濡れていた。

 

臭いは無い。

 

携帯の着信履歴をみた。

Aの名前はやっぱりというか無かった。

 

その日の昼すぎ、仕事場のビルの

ゴミ捨て場に行く事に。

 

自転車片手運転で駅まで。

 

地下鉄に乗り、

仕事場のゴミ置き場に向かった。

 

箱ごとビルのゴミ捨て場に捨てようと思い、

最後に恐いもの見たさで箱の中を覗くと、

 

腰が抜けそうになり、

その場にへたり込んでしまった。

 

石が真っ二つに割れていた。

 

色は外が真っ黒で、

中は真っ赤になっていた。

 

むちゃくちゃ怖かった。

 

手がものすごく震えだして、

止まらなくなった。

 

最初、この時間くらいに見た時は

青っぽかったのになぁと、

 

怖さで混乱し、

そんな事を思ってしまうほどだった。

 

急に震えが止まった。

体はかなり冷えていた。

 

石の入った箱をゴミ捨て場に置いて、

足早に駅へ。

 

駅までは行ったが、

石を捨てた開放感があっても

何かすっきりしないので、

普段はやった事のないパチンコ屋へ。

 

ぼーっと玉を追いかけてると、

余計な事を考えずに済んだ。

 

気がついたら日が暮れていたし、

金もほとんどなくなっていた。(笑)

 

(続く)不思議な石を拾ってから 4/4へ

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