不思議な石を拾ってから 1/4

「不思議な石を拾ってから」 YouTube版あります

 

6年前の冬。

12月27日か28日だったか。

 

その日の昼は仕事場の年末大掃除を終えて、

粗大ゴミやら古雑誌なんかを、

ゴミ置き場に出しに行った。 

 

その時、ふと目の端っこに何かが見えた。

何となく古いっぽい桐製の箱が捨てられていた。

 

中身が何となく気になりフタを開けてみると、

白い薄紙に何重にも包まれた、

奇麗な青っぽい石で出来た玉が入っていた。

 

すげえモン拾ってしまった!

値打ちのある物かも!

 

と思い、

ゴミの中からその箱と石を持った帰った。

 

夜、家に帰って部屋に飾ろうと、

床に置いてあった箱を持ち上げると、

昼間よりも重く感じた。

 

え?と思い、

中の石を取り出そうとした瞬間、

 

ビリっというかバチンと、

静電気のような衝撃が手に感じた。

 

その時は静電気としか思わなかった。

 

反射的に手を引っ込めて、

もう一度石に触ると静電気は無く、

なぜか温かい感じがした。

 

取り出すと、青っぽかった石が

真っ黒になっていた。

 

昼間明るいところで見るのと、

部屋のどちらかといえば暗い白熱灯の下では、

見え方が違うのかなと思った。

 

そう思って、石を手に持ち光にかざしていたら、

携帯電話が鳴った。

 

久しぶりに友人Aからで、

『近所のバーで飲んでるから来ないか』

と言う。

 

珍しい事もあるんだな。

あいつと飲んだ事あったっけ?

 

しかし懐かしさが勝ち、誘いに乗って、

バイクで5~6分くらいのところにある

バーを目指して行った。

 

11時くらいから飲んで、

夜中の3時くらいまで懐かしい話と

馬鹿話で盛り上がった。

 

二人ともかなり酔っぱらっていた。

 

帰りがけにAが、

「やっぱ今日、オマエ誘っといてよかったわ。

これに懲りずに付き合ってや」

と言ったので、

 

「あたりまえやん!

いつでも誘って、誘って」

と言って別れた。

 

酔っていたが、そのやり取りだけは何故か

鮮明に覚えている。

 

その後、バイクで家に帰るのだが、

その道中は覚えていない。

 

(警察の人ごめんなさい、

家に帰れた事が奇跡かも)

 

家に帰って、即ベッドで寝たのだろう。

 

朝起きた時は服はそのまま、

カバンも肩から掛かったまま、

何故かジーパンだけは脱いでいた。(笑)

 

何でやと思い、ジーパンをつまみ上げると、

膝から下が真っ黒にと言うか、

どす黒く濡れていた。

 

ドブに浸かった感じに。

臭いは特にしなかったと思う。

 

うわっと思い、ジーパンを放した。

 

すぐに、バイクでコケて

ドブかどこかに落ちたのかな?

と体の異常を探す。

 

すぐに見つかった。

 

右手(腕から肩)が上がらない。

 

例えるなら、

鎖骨の間の神経通ってる部分を、

ものすごい力で押さえつけられてる感じ。

 

無理をすれば激痛が肩から下に走る。

 

変な寝相だったかなと思いつつも、

今度はガレージにバイクを見に行った。

 

バイクはまったく無傷だった。

 

という事は、

コケていないという事らしい。

 

でも痛い。

 

親に話すと「病院に行け」という事で、

自転車に乗り(片手運転)救急病院へ。

 

(車で送らない親は鬼・・・)

 

レントゲンやMRIやらの検査をしたが、

全く異常はなかったし、

 

医者からは、

「ホントに痛いの?上がらないの?」

と聞かれたが、

 

痛いもんは痛いし、

上がらんもんは上がらんと、

ちょっとした押し問答になる始末。

 

家に帰ったら姉ちゃんに、

「何かに取り憑かれてんちゃう?」

との一言で、

 

無性に昨日拾ってきた石の事が

気になりだした。

 

最近で変わった事といえば、

昨日石を拾って来た事くらいだった。

 

そういう幽霊とか超常現象とかは

全く信じてなかったが、何となく

石が気になって仕方が無かった。

 

急いで部屋に戻る。

 

戻る間、何故かこの痛みは石のせいだと

強く思うようになっていた。

 

勘というやつか。

 

机の上の石は黒い透明になり、

中が真っ赤になっていた。

 

それを見て背筋がゾクッとなった。

 

姉ちゃんにこの事を言おうと部屋を

出ようとすると、体がうまく動かなくなった。

 

足が動かない。

 

金縛りか?これが?あれって寝てる時やろ?と、

初めてなる金縛りに焦りまくった。

 

その時不意に、

「やっぱ今日、オマエ誘っといてよかったわ。

これに懲りずに付き合ってや」

というAの声が聞こえた。

 

聞こえたというか、頭の中で響いた。

何回も言葉がぐるぐる回ってた。

 

そのうち何かぼーっとなって、ふと気づいたら

部屋の床で寝ていたらしい。

 

もう夕方になっていた。

 

夢か?

・・・何だったんだろう。

 

すぐに机の上の石を見た。

真っ黒だった。

 

昨日の夜と一緒だ。

 

何か急に怖くなり、

その石を処分しようと考えた。

 

晩飯を家族と食べた時も、

昼間の事は言わない事にした。

 

どうせ、まともな答えが返って来るとは

思えないから。

 

会話はテレビの年末特番の話か、

何かだったと思う。

 

夕食後すぐに部屋に戻り、

石をどうしたものか考えた。

 

とにかくここには置いておけない。

 

元の場所に捨てに行くか、

適当なところに捨てるか。

 

何となく元の場所に戻す(捨てる)方が

良いと判断し、明日、仕事場のビルの

ゴミ捨て場に行く事に決めた。

 

真っ黒の石を箱にしまい、

風呂に入ってさあ寝ようと思った時に、

家の電話が鳴った。

 

(続く)不思議な石を拾ってから 2/4へ

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