不思議な石を拾ってから 4/4

夜、家に帰って夕飯を終え、風呂に入ってると、

夕方から用事で出ていたオカンが帰って来た。

 

オカンが、

「あんた!どこ行ってたんな!

何回電話しても携帯も通じひんし!

留守番電話聞いてないの?

 

あんたA君っておったやろ?

亡くなったらしいで。

 

電話あって、A君のお母さんが

一度電話くれって」

 

Aが?

 

嘘やろ!と思いつつ、A宅へ電話する。

 

「もしもし、○○(僕)ですが」

 

『ああ、○○くん・・・、

ちょっとね大変な事になってね、

ちょっと奥さん呼んで来るから待っててね』

 

何か、向こうはざわざわしている。

 

Aママ『○○君?Aがね・・・』

 

「母から聞きました。今から行きますわ」

 

Aママ『いや、通夜はもうちょっと後やから、

今日はええよ明日でも。本人おらんしな』

 

「いや、今日の方がいいんです。

僕昨日、Aと会ってるんです」

 

Aママ『多分そうやろうと思いました。

それやったらまあ、家に来てください。

気をつけてね』

 

電話を切り、

その足でタクシーを呼びA宅へ。

 

昔はちょくちょく行ってた家だ。

 

A宅に着くと、Aママが、

「見せたいものがあるから」

とAの部屋へ案内した。

 

開けた途端、

ちょっと嫌な感じがした。

 

ガラステーブルに落書き帳?

画用紙の帳がぽつんと置いてあり、

 

「それを開けてみて」

と、言った。

 

中に書いてあったのは、

僕とAママ宛への手紙だった。

 

中身はこんな感じ。

(全文ではないです)

 

—————————–

おかんへ

 

おかん、これ見たら○○へ電話して、

これ読むように言って。絶対に!

 

 

○○へ

 

昨日は変な事、急に言ってごめんな。

でもオマエも十分変な事言ってたで。

 

俺に会ったとか、かなりキモイ事言ってたしな。

 

で、夢の内容やけども、あの後、

家帰って見たのは下半身全部赤かった。

 

じわじわ首の方まで赤くなっていきよった。

もちろん俺もや。

 

気になってんけど、

オマエはなんか黒い何かを持ってて、

その回りが異常に赤かった。

 

何かの固まりみたいなもん。

それしか分からん。

 

今日は弟の命日やけど、ひょっとして

俺の命日にもなるかも知れんなぁ。

 

アホみたいな話しやけど。

 

俺ら誕生日同じ日やしな。

 

オカンには悪いけど、

先に逝くかも知れんから、

先に言っとくわ。

 

生んでくれてありがとうな。

 

何やろうなこれは。

こう、引っ張られる感じって。

 

最近、何かに引っ張られる感じがするわ。

—————————–

 

手紙はここまでしか書かれていませんでした。

後半はちょっとした遺言みたいになっていた。

 

死ぬのがわかったのかどうかは、

誰にもわかりません。

 

Aママが「お茶でも入れるわ」と、

台所へ行った。

 

その間、手紙以外何も書かれてない落書き帳を

ぺらぺらめくっていて、思わず手が止まった。

 

そこには、あれがあった。

 

真っ黒な大きな丸が書かれていた。

中心は真っ赤に塗り潰されていた。

 

クレヨンで何度も何度も塗り重ねて、

黒が盛り上がってた。

 

ページの端の方に小さく何か書いてあった。

 

というか、鉛筆で書いて消しゴムで消した感じ。

書かれてないけど、書いた跡。

 

『探し物』って。

 

しかも、誰が見ても、

Aとは明らかに違う筆跡で。

 

はっきり言って、

今でも一番鮮明に残ってる場面。

 

後は何か、ようわからん話ですが・・・

 

どういう状況か分かりませんが、

Aはベッドの上で

眠るように亡くなっていたそうです。

 

Aママが、昼前になっても起きないAを

起こそうとしたら、呼吸しておらず・・・。

 

病院へ運ばれた時には、すでに

亡くなっていたそうです。

 

病院で服を脱がす時、

「足から首にかけて何本か、

赤いミミズ腫れのようなものがあった」

と言っていました。

 

Aが夢から覚めてすぐ手紙を書き、

何か途中で眠たくなって寝たのでしょうか。

 

石の事も含め、何も分かりませんが、なぜか

全て石を拾った直後に起こった出来事です。

 

石に助けられたのでしょうか?

Aに助けられたのでしょうか?

 

石とAが、何か関係あったのか知りません。

 

そして12月31日。

 

夜中から1月2日の朝まで、

40度くらいの高熱が出た。

 

夢に何度もAが出て来た。

 

何か叫んでるようだったが、

何か分かりません。

 

ゴミ捨て場にも行きました。

もう無くなっていました。

 

僕の腕は正月明けの1月5日頃に、

ふと上がるようになりました。

 

それ以来は何も起こっていません。

 

Aママから、後から聞いた話だと、

偶然にも弟が亡くなった時も

同じような感じだったらしいです。

 

Aは自殺かと思われましたが、

心不全みたいな事になったみたいです。

 

(めちゃ怪死だと思うんだが)

 

そういう事なので、

Aママのところに警察関係の人とか来て

事情聴取されてたみたいですが、

 

外傷(ミミズ腫れは何故かすぐひいたらしい)

薬物(毒?)反応もなく、

殺人ではないと判断されました。

 

父親はAが5歳のときに亡くなったらしいですが、

Aパパは人の死期がわかる人だったみたいです。

 

ちなみに、手紙にあったように、

AとA弟は同じ誕生日。

 

僕も実は同じ誕生日です。

今でもちょっと年末が怖いです。

 

(終)

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