怖いから、怪談話するのやめてぇ

ロウソクの火

 

これは、昨夜のこと。

 

俺が住むアパートの部屋に、友達を集めて百物語をやっていた。

 

その時は何も起こらなかったのでガッカリしていたのだが、つい先ほどになって金縛りに遭った。

 

仰向けの状態で金縛りになっていると、何かが部屋の隅から這い寄ってきた。

 

それは青い合羽を着たショートヘアーの女で、四つん這いになってゆっくりとこちらに向かって来ていた。

 

女は近づくにつれて、「ギャァメェデェ・・・」とガラガラ声で何かを喋っている。

 

近寄ってきたその女は、俺の体の上に覆い被さってきたので顔が見えるようになったが、左目のあるはずの部分がただの真っ暗な穴になっていた。

 

そして、ついに胸のあたりまで近寄ってきた時、ようやく女の放っている言葉がはっきりと聞き取れた。

 

「怖いから、怪談話するのやめてぇ・・・」

 

(いやいや、あんたの方が怖いよ)

 

女は言い終えると満足したのか、ずるずると部屋の隅の暗闇に帰っていき、姿を消した時になって俺の金縛りは解けた。

 

とりあえずネタの方からこちらに来てくれたので、今から百物語二晩目を決行する。

 

(終)

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One Response to “怖いから、怪談話するのやめてぇ”

  1. 通りすがり より:

    2回目も来てくれたのかな

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