子供の頃の遊び場だった山にて 1/2

廃屋

 

子供の頃は近くの山が遊び場で、

 

毎日のように近所の同世代の友だちと一緒に、

その山で遊んでいた。

 

この山の通常ルートとは別に、

 

(小さな山なので、

登山道というよりは散歩道)

 

獣道や藪をつっきった先には

謎の廃屋があり、

 

俺たちにしてみれば格好の遊び場だった。

 

小さな山だったから、

 

俺たちは道のあるとこ無いとこを

全て知り尽くしていた。

 

山はある意味、

 

俺たちがヒエラルキーのトップで

いられる独壇場だった。

 

ヒエラルキー(wikipedia)

階層制や階級制のことであり、主にピラミッド型の段階的組織構造のことを指す。

 

しかし、

俺たちにも天敵がいた。

 

それが『けんけん婆あ』だ。

 

廃屋に住み着いているらしい

歳を取った浮浪者で、

 

名前の通り『片足』が無かった。

 

けんけん婆あは、

俺たちに干渉してくることはなかったが、

 

俺たちは山で遊んでいる時、

よく視界の端で捉えては気味悪がっていた。

 

しかし、

 

好奇心旺盛な子供にとっては

格好のネタであったのも確かで、

 

どれだけ、けんけん婆あの

生態を知っているか、

 

どれだけ、けんけん婆あに

気付かれずに近づけるかが、

 

一種のステータスになっていた。

 

俺の知る限り、

 

どちらかがどちらかに声をかけた、

なんてことは皆無だった。

 

その日、俺たちは、

かくれんぼをすることになった。

 

隠れることのできる範囲は山全体。

 

ものすごい広範囲のように聞こえるが、

 

実はこの山でまともに隠れることの

できる範囲というのは、

 

極々限られている。

 

どちらかと言えば、

 

鬼はそれら隠れることのできる場所を

巡回するだけという、

 

隠れる側としては、

ほとんど運次第な遊びだった。

 

で、俺はその『定番の隠れ場所』

のひとつである、

 

廃墟に隠れることにした。

 

廃墟の壁には、

錆付いたトタン板が立てかけてあり、

 

俺はそのトタン板の下に隠れていた。

 

耳を澄ましていると、

 

「○○ちゃん、みーつけた!」

 

という声が遠くの方でしたりして、

 

その声の方向から、

 

今鬼がどこにいるのかを、

推察しながらドキドキしていた。

 

鬼のいる場所が次第に近付いてきて、

 

あっち行け!と呟きながらも、

そろそろ次は俺かなとか思っていた時、

 

「けんけん婆あが基地の方に行ったぞー!」

 

という鬼の叫び声が聞こえた。

 

基地というのは、

俺の隠れている廃墟のことだ。

 

(俺たちは秘密基地と呼んでいた)

 

しかし、

 

これはカマをかけて隠れている人間を

燻り出す鬼の作戦かも知れないし、

 

たとえ本当でも、

 

これはけんけん婆あをすぐ近くで観察して

英雄になれるチャンスだ。

 

そう思って、

俺はそのまま隠れ続けていたんだ。

 

とさっ、とさっ、とさっ、

 

まさに、

 

けんけんするような足音が

聞こえてきたのは、

 

その時だった。

 

この時点で、

もう後悔しまくった。

 

とさっ、とさっ、とさっ、

 

片足で枯葉を踏む音が、

もう廃墟のすぐ前、

 

俺から5メートルほどしか離れていない

場所まで近付いている。

 

見つかったら殺される!

 

そんな考えにとりつかれて、

俺はもうマジビビリだった。

 

そこで俺はよせばいいのに、

 

いきなり隠れ場所から飛び出して、

猛ダッシュで逃げるという選択肢を選んだ。

 

もう、飛び出すや否や、

 

けんけん婆あの方は

絶対に見ないようにしながら、

 

必死に友だちのところまで逃げた。

 

事情がよく分かっていないみんなを、

半分引きずる形で下山。

 

そこで初めて、

詳しい事情をみんなに説明した。

 

でもやはり、

 

あの恐怖は経験した本人にしか

分からないわけで。

 

逆に友だちは、

 

そんなに近くまでけんけん婆あに

近付いたことを、

 

すげぇすげぇと褒め称える始末。

 

俺もガキだったから、

すぐに乗せられて、

 

恐怖なんて忘れて多少の誇張を交えつつ、

誇らしげに語りまくった。

 

(実際は、けんけん婆あの姿は

見ないまま逃げ帰ったわけだし・・・)

 

でも、

 

その話をすぐそばで聞いていたのが、

うちの母親。

 

そんな危ないことは絶対にしてはダメと、

めちゃくちゃ怒られた。

 

俺、号泣。

 

その晩、俺の母親は他の両親や

近所の大人(婦人会の人たち)

 

それにこの山の所有者の人を集めて

話し合いを開いた。

 

なんでも、

 

子供の遊び場付近に浮浪者の人が

寝泊りしているのは、

 

何があるかわからないので危ない。

 

だからといって、

 

子供に山で遊ぶなというのは

教育上よくないので、

 

ここは浮浪者の人に出て行ってもらおうと。

 

(続く)子供の頃の遊び場だった山にて 2/2

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