廃屋の玄関にぽつんと立つ郵便ポスト
これは、友人の体験話。
一人で冬の山を歩いている時のこと。
人などとても住まないような山奥で、廃屋を見つけたのだという。
廃屋といっても、もう基礎しか残っておらず、どんな家屋だったかは分からない。
「なんでこんな辺鄙(へんぴ)な場所に?」
疑問に思い、辺りをうろついたそうだ。
すると、玄関と思しき辺りに、赤茶けた『郵便ポスト』がぽつんと立っていた。
奇妙なことに、ポストの中は郵便物で満杯になっている。
特に、新聞はどれも新しく、彼は思わず引き出して見た。
日付が今日のものになっていた。
彼の通りがかる数時間前に、誰かこの廃ポストに新聞を配達した者がいる。
彼は急に落ち着かない気持ちになり、足早に立ち去ったのだそうだ。
(終)
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