今日から毎晩同じ夢を見るだろう
最近、人づてにとても不思議な話を聞いた。
何やらその話というのは『夢』についての話だそうだ。
ある日、Aさんがいつも通り眠りにつくと、夢の中でどこか見知らぬ場所にいる。
周りを見渡しても何も無く、360度全体が一切何も無い。
ただそれだけの夢だったそうだ。
ただ、この話には続きがあり、Aさんは毎日その夢を見たそうだ。
この話を聞いたあなたは・・・
次の日も、また次の日も同じ場所で立っている。
その夢の内容は変わらず周りには何も無く、ただただ立ち尽くすだけで夢から覚めるのだという。
毎晩見る同じ夢にAさんも不思議に思い、その不思議な夢を友人であるBさんに相談したそうだ。
Bさんは精神科の専門医でもないので「気にするな」とだけ伝え、その時はそれで話が終わったらしい。
ただ次の日、不思議な事にAさんが夢を見なくなったそうだ。
今までずっと同じ夢を見続けていたのに、急に夢を見なくなった。
AさんはBさんが気にするなと言ってくれたお陰だと思い、Bさんにそのことを報告した。
報告を聞いてBさんは「良かったね」と言ってくれたが、少しだけいつもより元気がない様子だった。
Aさんは心配になって聞いてみても、Bさんは「何でもないよ」と、ただ笑うだけだったそうだ。
Bさんが元気の出ない日がしばらく続き、Aさんも気に掛けて毎日話しかけた。
Bさんは帰る途中、Aさんが自分のことを気にしてくれていたことを思い出し、このままずっと落ち込んでいても仕方ない、気分を一新しようと飲み屋に入った。
しかし、お酒を飲んでいても気分が重い。
その店の店主Cさんがそれに気付き、「何かあるなら話してみな」と言った。
最初Bさんは拒んでいたが、Cさんが気に病まれたままじゃ気になって仕事にならないと言ってきた為、Bさんは仕方なく話をすることにした。
それはこんな話だ。
Bさんがいつも通り眠りにつくと、夢の中でどこか見知らぬ場所にいる。
周りを見渡しても何も無く、360度全体が一切何も無い。
やがてBさんは歩き出した。
そこで夢は終わったそうだ。
BさんはAさんが見ていた夢の話もCさんに伝え、Cさんは「Aって人の話を聞くうちに影響を受け過ぎてたんだよ」と言った。
Bさんは確かにそうかもしれないと思い、Cさんに気持ちが晴れたことを伝えて店を後にした。
その夜、Cさんは夢を見たそうだ。
Cさんがいつも通り眠りにつくと、夢の中でどこか見知らぬ場所にいる。
周りを見渡しても何も無く、360度全体が一切何も無い。
やがてCさんは歩き出した。
しばらくすると、今まで何も無かったのに、少し前の方で女の人がうずくまっている。
ここでCさんは夢から覚めた。
Cさんは変な夢を見たなと思いながら、そういえばこの夢の内容は昨日の夜にBさんから聞いた夢に似ているということに気づいた。
そして、CさんはAさんBさんと同じように毎晩同じ夢を見続けたそうだ。
この話をCさんから聞いた私は、最近毎晩同じ夢を見るようになった。
その夢というのは、いつも通り眠りにつくと、夢の中でどこか見知らぬ場所にいる。
周りを見渡しても何も無く、360度全体が一切何も無い。
やがて私は歩き出す。
しばらくすると、今まで何も無かったのに、少し前の方で女の人がうずくまっている。
私は「こんな所で何をしているのか?」と聞くと、その人は立ち上がり、「待っていたの」と言いながら私の方へ振り向く。
女の人がこちらへ振り向き終えるより前に、私は夢から覚めた。
そして今、この話を聞いたあなた。
今日から毎晩同じ夢を見るだろう。
寝るまでに他の人へ話せば夢を見ないかもしれないが、確証はない。
すまないが、私はこれ以外の解決法は知らない。
(終)
やっちまった···
くだらない