図書館の地下を徘徊する足音

足跡

 

凄く怖かった体験談を。

 

うちの大学の図書館には地下があり、わりと自由に入れる。

 

古い書物が保管されていて、閲覧席もある。

 

しかも普段は空いていて、ちょっと涼しい。

 

だから混雑する試験期間も重宝する、お気に入りの場所だったが・・・。

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もう図書館の地下は使わないだろう

6月の初めに講義の中間テストがあった。

 

他の授業でも中間やらレポート提出やらがある時期だから混んでいた。

 

そんなある日の午前、授業が無かったので地下で勉強をしていた時のこと。

 

もうすぐお昼という頃に、ふと『足音』が耳に・・・。

 

ペタペタと右の本棚からこっちへ来るようだった。

 

私の右の席に座るのかなと、カバンをずらそうと右側に目をやると誰も居ない。

 

なのに足音はペタペタとこちらへ向かってくる。

 

足音はそのまま目の前の机を通過して、左の廊下へと消えていった。

 

その時は無性に怖くなり、その場を去って学科の控え室に逃げた。

 

友達にも話したけれど、「疲れてるんだよ」という結論が出た。

 

そのうち私も、寝不足で幻聴が聞こえたと思うようになった。

 

7月になって試験期間が近づくと、図書館が混むように。

 

試験も近いというある日の午後、私は地下で机に向かっていた。

 

その日は「夕飯を一緒に食べよう」と、彼氏と約束していた。

 

気づいたら約束まで後10分という時間で、「早く終わらせなきゃ」と焦った。

 

「3分くらいで終わらせよう」と思って気合を入れた時、また『あの足音』が聞こえた。

 

右側からペタペタと来て、目の前を通り過ぎて左へ向かう。

 

ところが、今度はまた左から右へとやってくる。

 

ずっと目の前をペタペタ歩かれて、正直鬱陶しかった。

 

ちょっとイライラして、「うるさいなあ」と呟いた。

 

すると、足音が一旦止んだ。

 

ヤレヤレと思ったけれど、違った。

 

今度は私の周りを回るように足音がし出した。

 

ペタペタペタペタペタペタ・・・と。

 

ノートから顔を上げるのも怖くなり、しばらく顔を下に向けたまま「ごめんなさい、ごめんなさい」と、ずっと心の中で謝っていた。

 

それでも足音は止まらなくて、どうしたらいいのか分からなくて泣きそうになった時、「○○(私)、どうしたんだ?」と彼氏の声が聞こえた。

 

約束の時間を過ぎても来ないから、地下へ探しに来てくれたようだった。

 

すると、足音がピタリと止まって聞こえなくなった。

 

私はホッとして、「ごめんね。早く行こう」と荷物をまとめて階段へ向かった時、背後から「ハハハハハッ!ハハハッ!」と笑い声が聞こえた。

 

振り返っても、誰も居ない・・・。

 

彼氏と二人して怖くなり、図書館を飛び出したのは言うまでもない。

 

そして先週、学科の人と飲み会をして、その話をネタとして話した。

 

・・・しかし、ある先輩が、「ああ、あの図書館、足音は結構するみたいね。人影を見たって人も何人かいるわ」と話してくれた。

 

どうして出るのかは分からないみたいだけれど。

 

いずれにせよ、もう図書館の地下は使わないだろうと思う。

 

(終)

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