そう言えばあの時ももう一人いたよなぁ?
俺の大学の同期友達の中に、女の子が一人だけいた。
その子とはサークルが同じで、結構仲良くやっていた。
俺の幼なじみの友人とも気が合い、三人でいることが多かった。
これは何の時だったか、幼なじみの友人と二人で昔の思い出話になったことがあった。
色々と話しているうちに、『もう一人、仲の良かった誰かがいた』ことを思い出した。
しかし、名前も顔も思い出せなくて、それでも一緒に遊んだ記憶はあった。
「何だっけ?誰だっけな~?」と話をしていたところに、その女の子が来た。
「何の話?」と聞かれて、「幼なじみと昔話してて~」という経緯を話した。
「幼なじみが橋から川に飛び込んでさ~」とか、「下り坂で自転車のブレーキが壊れて田んぼに飛び込んでさ~」とか。
その女の子もニコニコしながら聞いていたのだが、だんだんと怪訝な顔になっていった。
そして、「そう言えばあの時ももう一人いたよなぁ?」と言うと、「それ、たぶん私だ・・」と女の子。
ビックリして話を聞いてみると、どうやら本当にその子で間違いなかった。
遊んだ思い出のエピソードも、駄菓子屋で一緒に食べたジャガイモばっかりのおでんの値段も間違いなかった。
・・・間違いなかったのだが、その女の子はずっと東北地方に住んでいて、俺と幼なじみの友人はずっと中部地方に住んでいた。
それに、それぞれ大学進学で初めて地元を離れた。
俺ら三人は、どこで出会ってどこで遊んでいたのだろうか?
よく分からないことが多いが、大人になった今でも仲は良い。
(終)