20年間まとわりつく長い髪の毛
中学生くらいの頃からか、長い髪の毛が手に絡みつくようになった。
皆も経験があると思うが、洗濯後のタオルや洋服に髪の毛が付いているアレだ。
俺はずっと、母親や妹の髪の毛だと思っていた。
必ず1本だけ、服を着る時、タオルを使う時、顔を拭く時などに手の指に絡みつく。
俺の通っていた高校は男子校なので、それこそ短髪だらけの男の園。
制服に長い髪の毛が1本、これは電車か街中などで長い髪の女性の髪の毛が付いたものと思うが。
なんだかんだで、長い髪の毛が手の指に1本絡みつく生活が20年続いている。
転勤でウィークリーマンションに住んでいた時、バスタオルに長い髪の毛が付いている時があった。
枕元に長い髪の毛が1本だけ落ちている時があった。
ノートパソコンのキーボードに長い髪の毛が1本落ちている時があった。
もちろん俺は一人暮らしだ。
何の変哲も無い事なのに、ありえない状況化で実際に起こると恐怖を感じる。
そして俺は自身の生活圏内で、長い髪の毛を持つ『人間』が居ないことに気が付いてしまった。
自分は短髪で、しかも白髪対策で少々髪の毛を黒茶色に染めている。
なので、長い黒髪が絡みつくのが気持ち悪い。
そして怖い。
(終)
14歳の頃から始まって20年後ってことは今は34歳。白髪になるのか?