42度という人生最高の体温だった日

体温計

 

これは去年の年末、インフルエンザで倒れていた時の話。

 

『42度』という人生最高の体温で、意識もあるのかないのか分からない状態で俺は寝ていたが、尿意に襲われてフラフラと立ち上がった。

 

部屋の扉を開けたのか開けていないのかも分からないほどフラフラで廊下を歩いていたが、トイレまで凄まじく距離がある。

 

天井も凄く高い。

 

「あぁ、これが不思議の国のアリス症候群か・・・」と思いながらトイレに向かって歩いていた。

 

不思議の国のアリス症候群|参考

知覚された外界のものの大きさや自分の体の大きさが通常とは異なって感じられることを主症状とし、様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群である。(Wikipediaより引用)

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毛むくじゃらの小さいヤツ

そしてトイレまであと少しというところで、何かが右横にストンと降りてきた。

 

落ちてきたとかではなく着地した。

 

見ると、家で飼っている猫だった。

 

ただ違うとすればその大きさだ。

 

大きすぎる。

 

ステップワゴンくらいある。

 

そんな猫が俺の匂いをクンクン嗅いて、変な声で鳴いている。

 

俺は「いくらなんでもおかしい。寝ていた方がいいな。もし漏らしたら謝ろう」と、ゆっくり後ずさりをし始めた。

 

猫はじっとこちらを見ている。

 

俺は「そのままじっとしていてくれ」と思いつつ後ずさりをしていたら、猫の後ろから大きな影が現れた。

 

高さは2階建ての家くらいはある。

 

「巨人?」と思ったが、顔には見覚えがある。

 

うちの4歳の娘だった。

 

不思議そうな顔で俺を見ている。

 

娘が猫と一緒に近づいてきた。

 

いつも俺を見る顔ではなく、なにか不思議なものを見るような目でこちらに来る。

 

「捕まったらヤバい!」

 

俺はフラフラの体で自分の部屋まで走った。

 

部屋が遠い。

 

数メートルが凄く遠い。

 

後ろからは娘の気配がする。

 

なんとか部屋に着いた。

 

布団もでかい。

 

なんとか潜り込んで真っ暗な中でじっとしていた。

 

しばらくするとフッと意識が遠のき、ウトウトしている中で足の辺りがムズムズする感覚で我に返った。

 

熱も少し下がった感じだったので上半身を起こすと、足の辺りの布団がモゾモゾしている。

 

布団を捲ると、娘が何かを探していた。

 

「何してるの?病気がうつるからあっちに行きなさい」と言うと、娘が「小さいのがいたの!毛がいっぱい!それがね、パパの足のところにもぐっていったの」と少し興奮しながら言ってきた。

 

周りを見ると、大きさの感覚も元に戻っていた。

 

俺はゆっくりトイレに歩いた。

 

廊下の途中には、昨晩自分の首に巻いてた保冷剤を包んだタオルが落ちていて、猫がそれの匂いを嗅いでいた。

 

それを見て、「とりあえずトイレまで行こうとしていたのは本当だったんだなぁ」と思いながら、また俺は布団に戻った。

 

(終)

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