手書きの手紙で受けた営業依頼の怪
※名前は全て仮名
これは、友達のお父さんのヨシオさんの体験談。
ヨシオさんは、関西にある会社で営業マンとして働いています。
ある日、営業の依頼が手紙で九州から届きました。
その手紙は手書きで、今の時代に珍しいなと思いつつ、ヨシオさんは営業へ行くことになりました。
今思えば、そこそこ怪しい手紙なのに何故遠くの九州まで行くことになったのか、全く覚えていないそうです。
思いもよらぬ目的地の場所
そんなこんなで長崎県に向かったお父さんは、手紙に書かれていた住所を頼りに車で向かいました。
すると、その住所付近までは来れたのだが、どう見ても営業できるような場所ではなく、イタズラだったのでは?と思ったそうです。
しかし、関西からわざわざ九州まで来た手前、とりあえず住所の場所まで行ってみようと、近くにいた住民の方に場所を聞いたそうです。
住民の方は少し怪訝そうな顔をしながらも、場所を教えてくれました。
ただ、そこへは車では行けないので歩いて行くように、と言われたそうです。
真夏の猛暑日、汗をだらだら流しながらヨシオさんは目的地へ向かいました。
教えられた通りに道を進むと、なんとそこは『墓地』でした。
ヨシオさんは、やっぱりイタズラだったか・・・騙されたと思い、脱力して座り込みました。
持っていた水を飲み、しばらく休憩して会社にどう伝えようか考えながら、ふと顔を上げました。
すると、目の前には古びた墓石が佇んでいます。
そして『鈴木家之墓』と書かれた墓石を見て、ヨシオさんは飛び上がって車へと急いで戻りました。
なぜなら、墓石に書かれていた名前が、”手紙の送り主と同じ名前だった”からだそうです。
そんな話をお父さんから聞いた友達は、その手紙はもう残っていないの?と尋ねましたが、「どうしたかは覚えてないが、もうどこにもない」と言われたそうです。
さらに、今でもその場所に行こうと思えばいけるの?と聞くと、「珍しい案件だったからよく覚えてる。行こうと思えばまた行ける」とのことでした。
(終)