扉が開くとそこは真っ黒の世界だった
これは、仕事で北海道に行った時の奇妙な体験話。
頃は7月。
ホテルに到着し、部屋へ行くために一人でエレベーターに乗り、部屋がある4階のボタンを押した。
エレベーターが動いて止まり、扉が開いた。
すると、そこは真っ暗というより”真っ黒”なフロアだった。
この階は使ってないから電気を消してるのかな?
そう思った。
前方まっすぐに廊下が伸び、遠くに客室らしき扉が見えた。
真っ暗な中、扉の上の小さなライトのおかげでその扉が見えたが、それ以外はとにかく真っ黒だった。
エレベーターの中から少しフロアを覗いてみたが、ひんやりした空気があるだけ。
節電で電気を消しているのに冷房が入ってるって変だなぁと思いつつ、絶対に自分の部屋のフロアではないと確信し、乗るエレベーターを間違えたのかもと思って別の階へ行ってみた。
すると、普通の明るいフロアだった。
そのフロアで館内図を確認してみたところ、このエレベーターで間違いなかった。
もう一度同じエレベーターに乗って4階へ行くと、今度は普通の明るいフロアだった。
あの真っ黒な冷たいフロアは何だったのか?
もしあのフロアに出ていたら、私はどうなっていたんだろうか?
あれこれ考えているうちに恐怖を覚えた。
(終)