訳あって使われていなかった部屋に入居後
これは、結婚して住むことになった雇用促進住宅の部屋が、かなりヤバかった話。
入居2日前、管理人さんから鍵を受け取って部屋を覗いてみたら、何だか嫌な感じがした。
それでも、4組も順番待ちをしている中でやっと空いた部屋だったので、無理やり気にしないようにして引越しをした。
しかし、3LDKだったのだが、“どうしても4畳半の和室にだけ怖くて入れない”。
しかも、主人が仕事に行っている間に一人で家事をしていると、誰かの足音がする。
洗濯物を畳む為や家計簿をつける為などで座ってしまうと、途端に倒れるような眠気と金縛りに遭う。
おまけに、決まって夜中の2時になると、起き上がって電気もつけずに無意識のまま件の4畳半の和室に行っている。
そして、「あれ?何で私ここにいるの?」と思って寝室に戻る毎日。
何も感じないはずの主人まで、「トイレに行くのが怖いから付いてきて」と言い、私もトイレに行く時は「怖いからそこにいて」と、ドアを開けたまま用を足していた。
恥ずかしいなんて言っていられないくらい、本当に怖かった。
後で聞いた話によれば、“なぜか入居してもすぐに出て行ってしまう部屋だったから空き部屋として封印していた”らしいが、私たちがあまりにも「まだ空きませんか?」と催促ばかりしていたので、仕方なしに声をかけたそうで。
私たちが出た後、やはりその部屋には誰も入っていない。
(終)