隣室の前には度々変な物が置かれていた
これは、私が住むマンションでの不可解な出来事。
その日、深夜0時に帰宅すると、私の部屋の隣室前には『オレンジ色のブードゥー人形』が置いてあった。
“落ちていた”という感じではなく、ドアの真ん前5センチ程の所に、室内から見ると大の字になる向きで“置いて”あった。
しかも、頭に付いているはずの紐の部分が取れて無かった。
人形本体のみだ。
午後7時半頃に出掛けた時には無かった。
そういえば、今までも隣室前には度々変な物が置かれていた。
大きな甲虫が1週間毎日だとか、泥だか糞だか判断しかねる物が3日連続だとか、ビニール袋に入ったグレーの布(に包まれた何か)だとか・・・。
しかし、ブードゥ人形が置いてあって以来、隣室前に変な物が置かれていることはなくなった。
それから3ヶ月程が経った頃、隣人は夜逃げしてしまったようだった。
亡くなったという噂も囁かれたが、真相は分からない。
後日、借り主のいなくなった隣室に清掃業者がやって来た。
その様子を見ていたマンションの住人によると、「窓と言わず換気扇と言わず、全ての穴や隙間が塞いであり、全く換気されないせいで部屋中が黒カビで酷かった」と言う。
また、最近はほとんど外出もしていなかったらしい。
何かに怯えていたような隣人の様子に、私はあのブードゥ人形を思い出さずにはいられなかった。
(終)