若かりし頃の自分と遭遇

やっと仕事から開放され、

3日ぶりに家に帰る。

 

3日間ほとんど眠っていない。

 

駅を降り、人の波に紛れ、

住宅街を歩く。

 

角を曲がるたびに人は減っていき、

 

細い路地に入った時には、

周りに人気は無い。

 

とにかく疲れている。

 

来年は40歳。

もう若くもない。

 

家に帰ったら熱い風呂に入って、

ぐっすり眠ろう。

 

明日から、また過酷な仕事が始まる。

 

ぼんやりしながら、

ポツンポツンと街頭のある薄暗い

路地を曲がる。

 

さらに薄暗い道がまっすぐ続いている。

 

少し歩いて違和感を感じる。 

こんな道だったっけ?

 

だが、全く知らない道ではない。

 

三つ目の街頭の下を通り過ぎた時、

前から走って来る人に気づいた。

 

高校生だろうか。

 

白のTシャツに、

黒っぽいジャージを履いている。

 

近づいて来た彼を見た時、

トクンと心臓が鳴った。

 

理由は、すぐわかった。

 

伏目がちに走って来たその少年は、

昔の自分にそっくりなのだ。

 

体格、長めの髪、顔の造り、

そして顎のほくろの位置までも。

 

呆然と、すれ違った彼の

後姿を見送った。

 

その時、気づいた。

 

ここは高校の頃、

夜走っていた道だ。

 

走り去っていく彼はまだ若く、

サッカーの事しか考えていなかった。

 

人生は、これからだった。

何でも出来ると思っていた。

怖いものは、なかった。

 

薄暗い道を走り去っていく彼の後姿を、

闇に飲み込まれるまで見送る。

 

振り返るとそこは、

いつもの道だった。

 

(終)

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