同じ場所にずっと座っているおばあちゃん
これは、私が中学生の時に体験した心霊話。
通学路沿いにあったある家の玄関の前、その同じ場所にずっと座っているおばあちゃんがいた。
学校の先生からはよく「地域の人に元気に挨拶をしましょう」ということを言われていたので、私はそのおばあちゃんにも「おはようございまーす」と元気に挨拶をした。
けれど、すました顔をしてスルーされた。
私は正直「えっ・・・」と、その時は思った。
おばあちゃんは次の日もそこに座っていたので、また挨拶してみたけれど、やっぱり無視された。
近くに住んでいる人に、「あのおばあちゃん、全然挨拶を返してくれないですね~」と半笑いで聞いてみたところ、「はあ?」という感じの顔をされた。
実はそのおばあちゃん、かなり前に亡くなっていたらしい。
それを聞いた時はめちゃくちゃ怖かったけれど、何故かあの時は挨拶を返されなかったことを根に持っていた私は、いつか見えなくなるまで「おはようございまーすを言い続けてやる!」と心に決めた。
そうして2年くらいが経ったある日、本当に突然返事をされた。
おばあちゃんはキレ気味で「しつこい!」とだけ。
そして次の日からいなくなった。
私は少しだけ凹んだ・・・。
中学生だった私の心には、その言葉が深く突き刺さった。
今思うと、「おばあちゃんもなかなかしつこく居座っていたよなあ・・・」と、しみじみ感じる。
(終)