興味本位で黒魔術の会に参加してみた

鉤爪

 

この話は私が昔、興味本位で教会に行った時に牧師の羽田さん(仮名)の説教で聞いたものです。

 

それは羽田さんが牧師になる勉強のため、ロンドンに留学していた時のこと。

 

友人から「黒魔術の会に行ってみないか?」と誘われたそうです。

 

何事も経験と、羽田さんは少し興味もあって、その『黒魔術の会』に参加しました。

 

黒魔術の会にも色々な宗派があるらしいのですが、その会はみんなで悪魔を呼び寄せ、その悪魔に仕事や人生などの色々な相談やアドバイスを受ける、というものでした。

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3本の傷

その黒魔術の会では、悪の司祭は赤いローブと赤い覆面をします。

 

他の会員は、黒いローブと黒い覆面をします。

 

羽田さんと友人も、またどこからか黒いローブと黒い覆面を借りてきて、他の会員に混ざって見ていました。

 

しかし会が始まっても、いつまで経っても悪魔が現れません。

 

悪の司祭が必死に祈るのですが、ダメでした。

 

すると、悪の司祭が急に祈るのを止め、「この中に、偉大なる悪魔を恐れぬ者、そして、ここに居てはならぬ者がいる」と言って、参加している会員たちを見渡し始めたのです。

 

その瞬間、怖くなった羽田さんと友人は猛ダッシュでその場から逃げ出しました。

 

建物の敷地から出ようとする瞬間、羽田さんと友人は背中に鋭い痛みを感じたそうですが、とにかく逃げ切れたようでした。

 

無事に帰り着いて背中を確認すると、二人とも背中に鋭い刃物で切り裂いたような『3本の深い傷』が出来ていました。

 

その場に居た他の友人によく見てもらったところ、二人並んで逃げていた時の位置に立ってみると、その3本の傷はぴったりと繋がっていたそうです。

 

まるで、二人同時に大きな鉤爪で引っ掻かれたように。

 

そして不思議なことに、着ていた黒いローブやその下のシャツには、切り裂かれた跡は残っていなかったそうです。

 

考えすぎかもしれませんが、羽田さんと友人の二人は、会で呼び寄せた悪魔に『印を付けられた』のかもしれません。

 

何のための印かはわかりませんが・・・。

 

(終)

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