郵便受け入っていた送り主不明のプレゼント
これは毎年12月になると思い出す、少しだけ怖い体験をした話。
もう10年近く前のクリスマスイブに、アパートの集合ポストに『プレゼント』が1つ入っていた。
綺麗に包装されており、可愛いリボン付き。
ただ、贈り主に心当たりは全くない・・・。
でもきっと、どこかで誰かが俺に惚れているのだろうと思い込んで、ウキウキなテンションで包装紙を開けた。
中には、小綺麗な紙袋に入った水色のマフラーと、ピンク色の封筒が1つ。
とりあえず手紙を読めば相手がわかるだろう、と封筒を開ける。
可愛らしい便箋に、これまた可愛らしい丸っとした文字が踊っている。
わりと長文の手紙だったが、要約すると内容はこんな感じだった。
– – – – – – – – – – – – – –
まだ直接話したことはないけれど、ずっと○○さんのことが好きでした。○○さんへの想いを込めて手編みしたマフラーです。使ってくれると嬉しいな♡
– – – – – – – – – – – – – –
まず、俺の名前は『○○さん』ではない。
どうやら、このプレゼントは他の誰かへの物で、住所か部屋番号を間違えたのだろう。
ガッカリしつつ、さてこのマフラーをどうするべきか?
しばらく悩んだ末、交番に届けることにした。
翌日、バイトへ行く途中で近所の交番に寄り、マフラーを届けた。
お巡りさんは少し困りつつも、拾得物として引き取ってくれた。
そしてバイトを終えてアパートに戻ってみると、今度は切手の貼られていない茶封筒が1通、集合ポストに入っていた。
その場で封を切って確認すると、中には『返せ』の一言だけが黒のマジックで書き殴られた紙が1枚。
5分後、俺は集合ポストに張り紙を出した。
『マフラーは交番に届けました。勝手開けてしまって本当にすみませんでした』
翌朝、集合ポストを確認してみると、張り紙は乱暴に破り取られていた。
(終)
タグ:クリスマスプレゼント, 恐怖体験談, 贈り物, 郵便受け